「学長と語ろうY 奏楽堂トーク&コンサート」〈自然の不思議〜水中写真家・中村征夫氏を迎えて〉
11月14日(土)、第6回「学長と語ろう 奏楽堂トーク&コンサート」が、ゲストに水中写真家として著名な中村征夫氏を招いて開催され、約800名の来場者が約2時間にわたって対談と演奏会を楽しみました。
第1部は「自然の不思議」と題し、スクリーンに映しだされる中村氏の作品の数々とともに貴重な体験談が語られ、会場を魅了しました。まず中村氏が、東京都の御蔵島で出会った、死産した子どもを懸命に守る母イルカとその群れの話を披露すると、イルカをモチーフにシュプリンゲン(ドイツ語で「飛翔」)シリーズを展開する宮田亮平学長は「中村さんの作品やお言葉の中に、母の子に対する愛や想いを感じます。」と応え、この日のために制作した“シュプリンゲン「昇華」”を前に、海中で繰り広げられる生命の営みや深い愛情は我々と何ら変わることがないことを確認し合いました。
東京湾を守るために、一生潜り続けたいと話す中村氏は、最初に潜ったお台場の海で、ヘドロまみれの卵を抱え、必死に体当たりしてくる蟹の姿を眼にしたことや、1年で一生を終えるイカの交接を30年間追い続けてきたことなどを披露し、「ヘドロだらけの東京湾にも、我々と同じ生命の営みがあるということを伝え、守っていくためには、生の誕生や死、親子の愛情を撮り続けることが必要なんです。」と語り、宮田学長も深く感銘を受けていました。
さらに、中村氏が奥尻島で遭遇した北海道南西沖地震について「津波の第一波で何もかもなくなりました。自然がもたらすものは、美しさや癒しばかりではなく、ときには猛威をふるって甚大な被害をもたらすこともあると知りました。そして、美しい部分だけでなく、現状を世界にしっかりと伝える役目を果たすためにお前を生かしたんだぞと言われたように感じました。」と生死を彷徨った瞬間に触れると、宮田学長は「人は、自然やそこに生きる物たちから、様々なことを教わって生きているということを忘れてはいけませんね。」と応えつつ、感謝の想いを込めた次の詩を中村氏へ送り、対談は終了しました。
「生と死を見極めながら魚拓刷り
流転する身の侘びしさを知る」



休憩を挟んだ第2部コンサートでは、稲川榮一教授の指揮による、ワーグナーの楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》より第1幕への前奏曲とベルリオーズの《幻想交響曲》作品14より第4、5楽章が、通常はオーケストラのところ、今回は本学音楽学部管打楽器専攻学生らによる吹奏楽で演奏され、来場者は奏楽堂いっぱいに響き渡る吹奏楽の醍醐味を楽しみました。







