HOME > お知らせ一覧 >上野タウンアートミュージアム(UTM)を終えて

お知らせ

上野タウンアートミュージアム(UTM)を終えて

 今年3回目のUTMも盛況のうちに無事閉幕致しました。東京藝術大学美術学部と台東区の共催で開催されたこのプロジェクトは、台東区内の様々な会場で展開され、企画された8つのプロジェクトは地域の中にある社会性、環境、歴史、市民とのコミュニケーションの関係性の中から新しい芸術の一つのあり方を示すと共に、町の中に芸術作品を仕掛け、ミュージアム化するといった東京藝術大学の大学院教育の壮大な試みでもあります。

8つのプロジェクト

1.現代アートにおけるインタラクティブの場を構築する「町中アート」


2.「閾」をテーマに廃校となった旧坂本小学校を会場に国際的な現代アーティストを招聘し学生と共に展開した「サスティナブルアート」展


3.彫刻作品を伝統的古民家や芸能と関係させた彫刻アートプロジェクト


4.茶室をテーマに3カ所の街を回遊式庭園に一変させたマチヤタイプロジェクト


5.下町の現代と伝統を融合した伝統技術の応用によるイノベーション商品開発プロジェクト


6.上野公園を様々な布地で染め上げたアートランドコミュニケーション


7.版画の伝統技術を未来型に展開した伝統と現代展


8.アートリヤカーと命名した移動作品でまちなかを行進し、様々な場所にコミュニケーションの場を出現させたミチクサゴヤプロジェクトです。


 これらの手法の異なった様々な芸術の試みが地域の中に起こしたイベントは人々との様々なコミュニケーションを生み、我々の日常の異化作用となる場を発生させました。さらに国際プロジェクトとして開催された企画展「ナントカ8」は、フランスのナント芸術大学から選抜された大学院生と芸大の大学院生から選抜された学生の国際合同展であり、フランス サン・ナゼール市とこの台東区の複数の会場で開催され、外国のアイディンティティーの異なる学生との間で様々な意見を交換しながらの競作は、学生の創作にとって様々な面で多大な刺激を得る事が出来ました。
 UTMは、3年の回数を重ねる中で、当初不慣れであった運営も円滑に進行し、台東区との連携した8企画においても徐々に地域の中に浸透し始めました。会期中に台東区生涯学習センターにおいて、「地域における芸術の役割」と題したアートフォーラムを開催し8プロジェクト代表に加えゲストの京都芸術センター所長、別府現代アートフェスティバルの代表を招待し、盛大に開催され多数の市民、学生が参加しました。これらの成果は、この地域に様々な芸術を通じた新しい物語が生まれた事であり、芸術を通じた地域の活性化に貢献するものでもあります。学生が大学のキャンパスを出て地域の環境に触れての試みは、芸術の社会性との関わりにおける実践的な芸術創造の重要な契機でもあります。これは芸術大学の芸術教育の新しい環境造りであり、この環境から将来の芸術家や芸術を通じて文化創造の担い手になる人材の育成を目指すものでもあります。
 今回の試みも様々な人々の記憶として残り、さらに派生して物語の波紋が広がっていく事を願っております。最後になりましたが、UTMの実施に際しましては文部科学省、台東区及び東京都公園協会をはじめ、多くの関係者の方々にご支援、ご協力をいただきましたことを感謝し厚くお礼申し上げます。

UTM 実行委員長
美術学部長 池田 政治


RSS FEED RSS FEED RSSとは?