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アフターミュージッキング —実践する音楽—

音楽学者クリストファー・スモールが提唱した〈ミュージッキング〉。「音楽(ミュージック)」を固定された〈名詞〉ではなく、変化・生成する〈動詞〉として捉えること……行為として、実践として、変容するプロセスとして、そして何より人やモノ、出来事のネットワークとして音楽を理解することから何が見えてくるだろうか。そして、何が聴こえてくるのだろうか……

本書の扱っている領域は多岐にわたる。東日本大震災後の音楽の実践。サウンド・アートと名付けられる前の〈展示〉される音楽。レコードのライナーノーツ。デジタル音楽ファイルの歴史。ライブハウスのブッキングマネージャー。アニソンクラブイベント。日本のダブステップシーン。そしてグローバル化の中のインディー・ミュージック文化……本書を通じて、このような多種多様な場において〈音楽〉と名づけられた営為が単なる聴覚芸術文化にとどまらず、文化や社会、経済や政治のさまざまな実践を生み出していることを見ることができるだろう。

新進気鋭の研究者たち……この中には、ミュージシャンやDJ、音楽プロデューサー、パフォーマーなど実際に音楽の現場の実践にも深く関わっている人たちも含まれている……が、音楽学、ポピュラー音楽研究、社会学、メディア研究、文化研究を領域横断的に移動し、フィールドワーク、参与観察、聞き取り調査、そして詳細な文献研究を通じて、さまざまなミュージッキングの実践を描き出し、分析する。

これ自体ひとつの〈ミュージッキング〉の実践書であり、これからの〈音楽〉 の研究を志す人のための必読書である。

編著:毛利嘉孝
   中村美亜、北條知子、髙橋聡太、日高良祐、
   中野 哲、浅野裕貴、アルニ・クリスチャンソン、平松絹子
定価:本体2,000円+税
ISBN:978-4-904049-56-3 C1073
発行:2017年11月23日

オンライン書店で購入: amazon.co.jp
お問い合わせ:東京藝術大学出版会 TEL:050-5525-2026

目次

はじめに——ミュージッキング後に向けて
毛利嘉孝

第Ⅰ部 越境する音楽
第1章 東日本大震災と「音楽の力」——音楽に何ができるのか?
中村美亜
第2章 日本サウンド・アート前史——1950年代から70年代に発表された音を用いた展示作品
北條知子

第Ⅱ部 遍在する音楽
第3章 日本盤ライナーノーツの文化史
髙橋聡太
第4章 「ネット文化」としてのMODの受容——1990年代における音楽ファイルフォーマットの伝送実践
日高良祐

第Ⅲ部 都市空間と音楽
第5章 東京ライブハウス文化の転換と再構築——中規模店舗のブッキングイベントを事例に
中野 哲
第6章 アニソンクラブイベントの集団性——SNS時代における〈界隈〉
浅野裕貴

第Ⅳ部 旅する音楽
第7章 日本におけるダブステップ——シーンとジャンルについて
アルニ・クリスチャンソン
第8章 グローバル時代のインディー・ミュージック——
アンダーグラウンド音楽文化のエスノグラフィーとアーティスト活動の実態
平松絹子

編著者略歴

毛利嘉孝(もうりよしたか)
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授。

専門は社会学・文化研究。特に音楽や現代美術、メディアなど現代文化と都市空間の編成やポピュラー文化をテーマに批評活動を行う。最近は路上演劇の演出も手がける。

主著に『ストリートの思想』(日本放送出版協会、2009年)、『文化=政治』(月曜社、2003年)、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房、2012年)。伊藤守との共著に『アフター・テレビジョン・スタディーズ』(せりか書房、2014年)など。

著者略歴

第1章 東日本大震災と「音楽の力」—音楽に何ができるのか? 中村美亜

九州大学大学院芸術工学研究院准教授。専門は芸術社会学。芸術実践が個人のエンパワメントや社会環境の変容を促すプロセスや仕組みに関する学際研究を行っている。著書に『音楽をひらく―アート・ケア・文化のトリロジー』(水声社、2013年)など。ジェンダーやセクシュリティに関する著作も多い。東京藝術大学助教などを経て、2014年4月より現職。九州大学ソーシャルアートラボ副ラボ長。

 

第2章 日本サウンド・アート前史—1950年代から70年代に発表された音を用いた展示作品 北條知子

ロンドン芸術大学サウンド・アート研究所CRiSAP客員研究員。現在、ポーラ美術振興財団在外研修員としてイギリスに滞在し、アーカイブ資料やフィールド・レコーディングを用いたサウンド・アート作品の研究をおこなっている。グループでの活動として、ジョン・ケージ以降の実験音楽を専門とする「実験音楽とシアターのためのアンサンブル」や、音楽家ラヘル・クラフトとの記憶・場・声をめぐる共同プロジェクト「Reborn Sounds」など。

 

第3章 日本盤ライナーノーツの文化史 髙橋聡太

ポピュラー音楽を中心に20世紀の環太平洋圏の文化史を研究する。現在のテーマは戦後の来日公演史。主な論文に「来日公演のライヴ文化史:1950年代初頭のジャズ・ブームにみる「熱狂」の原風景」(『現代風俗学研究』、2015年)、論考に「ジャンルの樹海」(『ユリイカ 2017年8月号 特集=cero』)など。2016年に東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程単位取得退学、同年から福岡女学院大学人文学部メディア・コミュニケーション学科専任講師。

 

第4章 「ネット文化」としてのMODの受容—1990年代における音楽ファイルフォーマットの伝送実践 日高良祐

首都大学東京システムデザイン学部インダストリアルアートコース助教。専門はメディア研究、ポピュラー音楽研究。東京藝術大学大学院音楽研究科博士号取得。デジタルメディア技術の受容過程とそれにあわせて生じつつある文化変容に関心を持ち、主にインターネットを介した音楽流通を対象に調査を行なっている。「日本ネットレーベル史」(『SWITCH特別編集号 Maltine Book』、2015年)、「オフラインで流通する音楽ファイル─パソコンユーザーによる同人イベントの利用」(『現代風俗学研究』、2015年)など。

 

第5章 東京ライブハウス文化の転換と再構築—中規模店舗のブッキングイベントを事例に 中野哲

1993年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。学部時代、東欧革命における政治と文化の関連性について研究するにつれ、文化研究に興味を抱き始める。東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。専攻は音楽文化学。エンターテイメントロックバンド「スパイシーコウヤドウフ」でボーカル、ダンス、作詞作曲等を担当。現在も音楽活動を行うかたわら、自らの演奏拠点でもあるライブハウスの文化変容に関心を持ち、現場でのフィールドワークを通して研究を続けている。

 

第6章 アニソンクラブイベントの集団性—SNS時代における〈界隈〉 浅野裕貴

東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。DJ、ライター。在学中より都内を中心にDJとして活動しながら、アニソンクラブイベントやその周辺の現場でフィールドワークを行ってきた。webメディア「KAI-YOU」などに音楽やアニメについて寄稿するなど、ライターとしての一面も持つ。現在は芸能事務所でアイドルのマネジメントをする一方で、”アニメ×クラブミュージック”な超都市型屋外DJパーティー『Re:animation』でレジデントをつとめるほかDJとして活躍している。

 

第7章 日本におけるダブステップ—シーンとジャンルについて アルニ・クリスチャンソン

アイスランド出身DJ、研究家、音楽ライター。アイスランド大学日本語学科卒業後、2008年から東京藝術大学大学院音楽研究科で日本の音楽文化を研究。修士(音楽)。研究関心は外国の音楽がどのように日本でローカル化されるかについて。東京の緊迫状態生活に飽きてしまい2016年に帰国。現在はアイスランドの素晴らしい大自然を案内するツアーガイドの仕事をしながら、レイキャビクのクラブやバーでDJとして活躍している。

 

第8章 グローバル時代のインディー・ミュージック—アンダーグラウンド音楽文化のエスノグラフィーとアーティスト活動の実態 平松絹子

広島出身、東京在住のソロ・プロデューサー/DJ。2011年に自宅の寝室で楽曲制作を開始して間もなく、LAのアンダーグラウンド・レーベルNot Not Funと日本の名門インディー・レーベルBig Loveからデビュー。瞬く間に世界中のアンダーグラウンド・シーンから注目を集める。活動の傍ら次第に音楽研究を志すようになり、東京藝術大学大学院音楽研究科で修士号を取得。2015年にはパリのRed Bull Music Academyに参加、定期的に北米、ヨーロッパ、アジアツアーを行い国内外で精力的に活動を続ける。