東京藝術大学 音楽療法研究会

 
 
 

 東京藝術大学音楽学部に音楽療法の小さな芽が生まれたのは、もうずいぶん昔のことです。桜林仁先生が『生活の芸術』という著書を世に送り出したのは1962年のこと、当時、東京藝術大学の教授として心理学を担当していた先生は「なにが大切といって、生活ほど、大切なものはありますまい。生活がすべてなのです」と著書の冒頭で宣言しています。このような言葉が半世紀前の日本の文化環境においてどのような重みをもっていたでしょうか。芸術至上主義と極言してもおかしくない当時の東京藝大で、このようなメッセージはさほど歓迎されるものでなかったのは想像に難くありません。すべてに優った存在として芸術をとらえるのではなく、生活、すなわち人生を究極の目的とし、芸術を生活のためのものとして理解しようとするその決意の深さに思いをめぐらせてみると、半世紀後のわたしたちが目標として掲げようとしていることの意味も、また単純ならざる色合いを帯びてくるようです。

 平成22年4月、わたしたちは東京藝術大学音楽療法研究会を立ち上げました。東京藝術大学で音楽療法を学ぶ者たちが寄り集まって、定期的な活動を始めていきます。少しずつ活動を充実させ、音楽療法の研究に少しでも寄与できるよう努めてまいります。

 

音楽療法研究会

 


会則 例会                                   応用音楽学研究室