芸大コレクション展 歌川広重《名所江戸百景》のすべて

展示室画像

2007年7月7日(土)〜9月9日(日)
月曜休館
(ただし7月16日、8月27日は開館、
7月17日(火)、8月25日(土)は閉館)
午前10時〜午後5時
(入館は閉館の30分前まで)

東京藝術大学大学美術館
地下2階 展示室1

[芸大コレクション展通常ページ]

 浮世絵師歌川広重(初代:寛政9 - 安政5(1797 - 1858))の最晩年の傑作《名所江戸百景》(安政3-5年(1856 - 1858))は、 江戸の市中と郊外の景観を主題とした浮世絵風景版画の揃物で、初代による118枚、 および二代広重による1枚と「目録」をあわせた、合計120枚で構成されています。 この揃物は、保永堂版《東海道五十三次》に並ぶ広重の名所絵版画の代表作であるばかりでなく、 近景と遠景の大胆な対照とともに、西洋由来の遠近法が見事に消化された構図表現によって、 江戸時代の浮世絵風景版画の頂点に位置づけられるものです。またこれは19世紀後半のヨーロッパでも受け入れられ、 印象派や後期印象派のモネ、ゴッホ、ゴーガンらに強い影響を与えた浮世絵版画としても知られています。 また《名所江戸百景》は、平成15年に東京伝統木版画工芸協会を中心に復刻されたことを契機として、 展覧会での展示や出版物刊行の機会が増しており、同時に、この揃物の構図の成立過程や、 名所絵としての位置づけに対して、新たな研究調査が進められている点でも注目される作品です。

 この揃物と東京藝術大学の関係は、明治43年、東京美術学校の文庫(現在の附属図書館) が《名所江戸百景》の貼り込み本を購入したことに始まります。 以降同作は近年まで図書館にて貴重書として管理されていましたが、 2004年秋に当館で開催した「HANGA 東西交流の波」展に出品される機会に、 附属図書館から大学美術館への管理換えが行われ、同時に貼り込み帖から全葉を剥離するプロジェクトを開始しました。 そして2006年度に、3年にわたる慎重な修復作業の末、全120枚の剥離作業が完了しました。  本展は、芸大美術館が所蔵する《名所江戸百景》の修復完了のご報告を兼ねて、 全点を一挙に展観するものです。広重の最晩年の浮世絵風景画の構図の展開をご堪能いただけることと存じます。 また、広重の着想源となった資料として、江戸期に刊行された版本を、参考資料としてあわせて展示いたします。 これらの資料の多くは、本学附属図書館が収集・所蔵・管理しているもので、本学の歴史の一断片を示すものです。 広重の最晩年の浮世絵風景画シリーズの全容とともに、東京美術学校文庫を出版点とする、 本学の長きに渡る書籍・標本収集活動の一端をあわせてご覧頂ければ幸いです。

主催: 東京藝術大学大学美術館
助成: 財団法人 印刷朝陽会
出品協力: 東京藝術大学附属図書館
企画協力: 大久保純一(国立歴史民俗博物館)
観覧料: 一般 300 (250)円 大学・高校生 100 (50)円 (中学生以下は無料)
*( )内は20名以上の団体料金(団体観覧者20名につき1名の引率者は無料)
*障害者手帳をお持ちの方とその介護者各1名は無料
*同時開催の特別展『金刀比羅宮書院の美 ― 応挙・若冲・岸岱 ―』ご観覧の方は無料でご覧頂けます。

<問い合わせ>
ハローダイヤル:03-5777-8600

[東京藝術大学]
[東京藝術大学大学美術館]

出品リスト

  • 001 玉川堤の花
  • 002 堀江ねこざね
  • 003 千住の大はし
  • 004 芝うらの風景
  • 005 千束の池袈裟懸松
  • 006 上野清水堂不忍ノ池
  • 007 品川御殿やま
  • 008 砂むら元八まん
  • 009 赤坂桐畑
  • 010 品川すさき
  • 011 井の頭の池弁天の社
  • 012 王子瀧の川
  • 013 湯しま天神坂上眺望
  • 014 日本橋雪晴
  • 015 日暮里諏訪の台
  • 016 千駄木団子坂花屋敷
  • 017 飛鳥山北の眺望
  • 018 八景坂鎧掛松
  • 019 外桜田弁慶堀糀町
  • 020 鴻の台とね川風景
  • 021 広尾ふる川
  • 022 目黒千代か池
  • 023 吾嬬の森連理の梓
  • 024 角筈熊野十二社俗称十二そう
  • 025 糀町一丁目山王祭ねり込
  • 026 亀戸天神境内
  • 027 小奈木川五本まつ
  • 028 浅草金龍山
  • 029 隅田川水神の森真崎
  • 030 八ツ見のはし
  • 031 両国橋大川ばた
  • 032 浅草川首尾の松御厩河岸
  • 033 利根川ばらばらまつ
  • 034 深川木場
  • 035 する賀てふ
  • 036 下谷広小路
  • 037 猿わか町よるの景
  • 038 霞かせき
  • 039 増上寺塔赤羽根
  • 040 駒形堂吾嬬橋
  • 041 真間の紅葉手古那の社継はし
  • 042 高田姿見のはし俤の橋砂利場
  • 043 永代橋佃しま
  • 044 日暮里寺院の林泉
  • 045 王子音無川堰?世俗大瀧ト唱
  • 046 川口のわたし善光寺
  • 047 蒲田の梅園
  • 048 四ツ木通用水引ふね
  • 049 ミつまたわかれの淵
  • 050 逆井のわたし
  • 051 中川口
  • 052 鉄炮洲稲荷橋湊神社
  • 053 にい宿のわたし
  • 054 小梅堤
  • 055 南品川鮫洲海岸
  • 056 高田の馬場
  • 057 目黒新富士
  • 058 目黒元不二
  • 059 柳しま
  • 060 墨田河橋場の渡かわら竃
  • 061 廓中東雲
  • 062 せき口上水端はせを庵椿やま
  • 063 高輪うしまち
  • 064 目黒爺々が茶屋
  • 065 よし原日本堤
  • 066 目黒太鼓橋夕日の岡
  • 067 両ごく回向院元柳橋
  • 068 水道橋駿河台
  • 069 堀切の花菖蒲
  • 070 箕輪金杉三河しま
  • 071 深川洲崎十万坪
  • 072 佃しま住吉の祭
  • 073 浅草川大川端宮戸川
  • 074 綾瀬川鐘か淵
  • 075 市中繁栄七夕祭
  • 076 金杉橋芝浦
  • 077 芝愛宕山
  • 078 真乳山山谷堀夜景
  • 079 真崎辺より水神の森内川関屋の里を見る図
  • 080 吾妻橋金龍山遠望
  • 081 五百羅漢さゞゐ堂
  • 082 深川八まん山ひらき
  • 083 深川三十三間堂
  • 084 月の岬
  • 085 上野山内月のまつ
  • 086 請地秋葉の境内
  • 087 馬喰町初音の馬場
  • 088 神田明神曙之景
  • 089 王子稲荷の社
  • 090 昌平橋聖堂神田川
  • 091 王子不動之瀧
  • 092 大はしあたけの夕立
  • 093 紀の国坂赤坂溜池遠景
  • 094 王子装束ゑの木大晦日の狐火
  • 095 鎧の渡し小網町
  • 096 筋違内八ツ小路
  • 097 亀戸梅屋舗
  • 098 深川萬年橋
  • 099 神田紺屋町
  • 100 四ツ谷内藤新宿
  • 101 浅草田圃酉トリの町詣
  • 102 虎の門外あふひ坂
  • 103 山下町日比谷外さくら田
  • 104 日本橋江戸ばし
  • 105 京橋竹がし
  • 106 木母寺内川御前栽畑
  • 107 御厩河岸
  • 108 愛宕下藪小路
  • 109 大てんま町木綿店
  • 110 大伝馬町こふく店
  • 111 鉄炮洲築地門跡(江戸百景餘興)
  • 112 芝明神増上寺(江戸百景餘興)
  • 113 日本橋通一丁目略図
  • 114 はねたのわたし弁天の社
  • 115 両国花火
  • 116 上野山した
  • 117 市ヶ谷八幡
  • 118 びくにはし雪中
  • 119 赤坂桐畑雨中夕けい
  •  
  • 120 目録

参考出品

  • 121 斉藤月岑著、長谷川雪旦画 『江戸名所図会』
  • 122 歌川広重(初代および二代) 『絵本江戸土産』 [東京芸術大学附属図書館蔵]
  • 123 柳下亭種員文、歌川広重(初代)画 『東海道風景図会』 [東京芸術大学附属図書館蔵]
  • 124 歌川広重(初代) 《六十余州名所図会》 [東京芸術大学附属図書館蔵]
  • 125 歌川広重(二代) 《東都三十六景》 [東京芸術大学附属図書館蔵]
  • 126 歌川広重(二代)『安藤(歌川)広重像』