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山﨑秀保文化庁文化財部長が藝大COI拠点を視察(3/16)

2017年03月17日 | 全て, 大学全般

3月16日、山﨑文化庁文化財部長が東京藝術大学を訪れ、COI拠点「産学官連携棟(Arts & Science LAB.)」を視察しました。

 視察に先立ち、宮廻正明社会連携センター長からアフガニスタン流出文化財や法隆寺釈迦三尊像3D復元プロジェクトといった文化財の復元事業について説明がありました。はじめに、現代のデジタル画像処理および2D・3Dの印刷技術と、第一線の芸術家による伝統技法と感性を融合させ制作されたものであり、物理的に高精度且つ同素材同質感であるのみならず、技法、素材、文化的背景など芸術のDNAに至るまで復元されたものを「クローン文化財」と呼ぶことが宮廻センター長から説明されました。また、「クローン文化財」は、オリジナルをそのまま複製するだけでなく、欠損箇所を修復した完全な状態への復元も可能であることが紹介されました。流出文化財を修復・復元して元の国へ返還することは、文化外交として重要な意味を持ち、同時に文化の継承にも貢献するとの宮廻センター長からの説明に、山﨑部長は熱心に聞き入り、「クローン文化財」の復元技術の社会実装の可能性を確認しました。

 2階コンテンツ開発研究工房では、フェルメールやゴッホなどオリジナルと同素材、同質感で復元した「クローン文化財」を視察しました。宮廻センター長は「クローン文化財」があれば、誰もが名品に接することができると説明するとともに、復元作業中の高麗仏画や、触れると匂いがする浮世絵の「クローン文化財」なども紹介しました。山﨑部長は実際に作品に触れ、見た目だけでなく質感まで復元された技術の高さを確認しました。また、オランダ芸術科学保存協会 (NICAS;Netherlands Institute for Conservation Art and Science)と本学とで協定を締結し、最先端技術と伝統技法を活用してブリューゲル作の名画「バベルの塔」の複製制作プロジェクトに取り組んでいることが紹介されました。

 4階球形シアターでは、ドームプロジェクション映像を紹介し、臨場感溢れる映像表現を体感していただきました。半球面のスクリーンに映し出された映像を鑑賞しながら、映像分野の新たな表現方法の広がりや展望について、宮廻センター長から説明がありました。

 その後、B1Fの実験工房では、彫刻の手法と解剖学のノウハウを活かした藝大COI拠点オリジナルアンドロイドを見学しました。最先端の「ロボット・パフォーミングアーツ」やロボットを用いたコミュニケーションサービスの教育や医療・福祉への貢献について紹介がありました。学校でロボットによるサイエンスコミュニケーションを行うことによって子どもに科学への興味を持たせることができると説明があり、ロボット技術の活用性を確認しました。

「クローン文化財」について質問する山﨑文化庁文化財部長(右側中央)

復元作業中の高麗仏画に触れる視察メンバー

「バベルの塔」の複製制作プロジェクトを紹介する宮廻センター長