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凡例

解説中の記載順序と方法

記載例:

316 ルバブ

インドネシア=ジャワ
木製胴 皮張り(水牛 内臓膜)全長113.7cm
2弦(真鍮弦)調弦:ハート
音域:ハより約2オクターヴ半 響孔:胴の背面中央に5
駒1 弓1

奏者は胡坐し,楽器を正面に立てて右手の指で弓毛の張力を加減しながら弓奏する。調弦は
向かって左が低音。駒と緒止の間弦を一つに結び,2弦間にバナナの葉などを挟むことで音
色を和らげる。胴の側面および背面は,金糸の縫取りをした天鷲絨に覆われる。ガムラン合
奏ワヤン・クレ(影絵人形芝居)や歌舞劇の伴奏などに用いる。

l.カタログ番号
2.楽器名

原則として現地音、現地表記法にもとづく。ただし、現地名が確定できない場合は?を付し、未詳の場合はカッコつきの一般名称で示した。

例 尺八? 〔横笛〕など。
3.地域名・民族名
楽器が属する地域名・民族名が明らかな場合は,広義の地域名または国名(地域名)民族名の順に示した。

例 フィリピン(ルソン)=カリンガ,中央アジア=タジクなど。
確定できない場合は?を付した。
4.材質および大きさ
大きさは原則として全長を示す。ただし膜鳴楽器については胴(または枠)の長さと膜面の直径のみ項目を示した。
5.その他のデータ(フレツト,弦,孔,調弦,音域,筒音,附属品など)
音名 表記法はこちらを参照。

調弦 調弦法が複数ある場合,そのうち主要なものをひとつ選び記した。なお,音高表記は必ずしも絶対音高ではない。
コト類 演奏者から見て手前から外側に記す。
ビワ類 表(弦の張ってある面)から見て,左から右に記す。
指孔 気鳴楽器で指孔をもつ場合,歌口から速いほうを第一孔とする。
附属品 演奏に直接かかわる物.ないし調律に関する用具はあるものについてのみ記した。(たとえば、撥、調律用鍵など)
6.解説
備考:写真中のスケールの最小目盛りは10mm。

解説中の用語説明

1.楽器の方向 横に構えるか横たえて演奏するものは演奏者側から見て、縦に構えるものは観客側から見て,左右を記述した。
2.楽器の構え方 基本的に以下の表現を用いている。

3.楽器の部分名称

弦鳴楽器

 

コト類

弦が張り渡される本体(共鳴器を兼ねる場合もある)。
共鳴器 胴に取りつけて弦の響きを増幅する部分。
糸巻 調弦の装置。
緒止(おどめ) 弦の一端を固定する装置(ピンを含む)。
■(か・木へんに果)  固定のフレツト。
柱(じ) 特定の音高を得るために弦を胴から持ち上げ支えるもの。弦の振動を胴に伝える。
上駒(かみごま) 胴の一端に固定されて弦を支える部分。
勘所(かんどころ) 一定の音高を得るための適切な押さえどころ。

ビワ類

 
共鳴機能をもつ中空の主部
胴から伸び柄の部分。
フレツト 棹の勘所につけられた横桁。
指板 棹の上駒より下の表面に取りつけられ,押弦の場となる細長い板。
弦を胴面上の一定の高さに支えながら弦の振動を胴に伝えるもの。
上駒(かみごま) 弦の上部に固定され,駒との間の弦の振動部分を限定するもの。
糸巻 調弦の装置。
頭部 上駒より上の指板のない部分。
響孔(ひびきあな) 胴の表面や背面に開けられ、弦の響きを増幅する孔
脚(あし) 胴の下端から突き出し、弦の一端を固定する部分。
緒止め(おどめ) 胴の下部または脚に弦を固定する部分。
糸蔵(いとくら) 糸巻が差し込まれる中空の部分。
勘所(かんどころ) 一定の音高を得るための適切な押さえどころ。
演奏弦 主として旋律を奏するための弦。
番外弦 旋律弦以外の弦でドローン弦およぴリズム弦の機能をもつもの

タテゴト類

 
共鳴機能をもつ中空の主部。
腕木(うでぎ) 胴から伸び,弦の一端を固定する部分。

リラ類

 
共鳴機能をもつ中空の主部。
横木 二本の腕木の両端にさし渡され,弦の一端を巻きつけ調法する部分。

コモク類

 
筒型片面太鼓の形をした部分
   

気鳴楽器

 
   
管(くだ) 管の本体。
簧(こう) リード(一枚簧,二枚簧など)。
吹口(ふきぐち) 息を吹き込む孔
歌口(うたぐち) 音振動を生み出すカルマンの満が形成される部位(ラッパのマウスピースを含む)。
切込み シャクハチ類の歌口の刻み。
ダクト リコーダーなどの歌ロと吹口を結ぶ通気溝。スリンの上部環などもこれに含まれれに含まれる。
朝顔 歌口と反対側の先端部で開いている部分。
ヴァルヴ ラッパの音の高さを調節するための弁。
キー 指孔を開閉する機構。
内腔(ないこう) 管の内側(くりぬかれた空間部分を指す)。
指孔(ゆびあな) 音高を変えるための孔。
笛膜孔 竹紙などを張り,息の振動によりミルリトン効果を得る孔。
飾り孔 音高に関係ない装飾用の孔。
喉(のど) 能管の内腔にはめこまれた小さい管。
気室 バグパイプなどで空気を溜めておく部分。
簧締め 簧を管にとめる装置(たとえばクラリネット)
   

膜鳴楽器

 
   
膜が張られる外殻。
膜が張られる外殻。膜の半径よりも浅いもの
締め紐 膜を胴に固定している紐。
責(せ)め 締め紐の張力を調節するもの。
調緒(しらべお) 締め紐の張力を調節する紐。
   

体鳴楽器

 
   
丸(がん) ガラガラ類の発音体内部の小物体
舌(した) ムツクリ類の発音体。
舌(ぜつ) カネ類の発音体内部に吊り下げられた小物体。
   

附属品

 
   
桴(ばち) 主に打奏に用いるもの。頭部・柄に分かれるものもある。
撥(ばち) 主に弾奏に用いるもの。
爪(つめ) 弾奏するために指につけるもの(義甲など)。
指皮(ゆびかわ) 鋭い音色を得るために指先につけるもの。指を保護する役目もはたす。
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