音楽教育

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 音楽教育は、音楽と人間の多様なかかわりを「教育的視点」から追究する研究者・実践者を育成する研究分野です。

 ここで学ぶ学生たちの研究対象は、ただ学校の音楽教育にとどまらず、音楽の専門教育、幼児の音楽教育、障害児の音楽教育、社会教育としての音楽教育など多岐にわたっています。さらに、研究論文の作成とともに、専門実技の研鑽が課せられている点(音楽の専門性を生かした音楽教育研究)、授業研究等を通して様々な実践現場と連携して教育研究を推進している点(教授・学習の実際に根差した音楽教育研究)などが本研究分野の大きな特色です。これまでの修了生の多くが、教員養成系の大学や音楽大学等で音楽教育担当の教員として活躍しています。

 学生一人一人の研究に関しては、複数の教員と学生が常に密接にかかわりながら、その方向や内容を決めるような指導体制が確立されています。

 近年、社会の急速な状況変化にともない、新たな音楽教育実践をどう構築していくかについて、発想の転換や新たな理論の形成が求められており、とりわけ音楽の授業研究、カリキュラム研究、評価研究に関しては、体系的な理論の再構築が焦眉の課題となっています。そこで「音楽教育」研究分野では、現在、教員と学生が協力して、学習の総合化・本質化・継続化・共有化を根本指針とする共同研究に取り組んでいます。

望まれる学生像

 音楽と人間の多様なかかわりを教育的な視点から追究する研究者・実践者の育成を目指しているため、研究・実践の基盤となる音楽の専門能力に優れた人を求めています。

 このために、まず学部にある専攻分野(作曲・声楽・器楽・指揮・邦楽・楽理から選択)の試験(実技試験あるいは論文試験)が課されます。さらに、大学院における研究構想や計画の具体性、音楽教育の研究者・実践者としての可能性や資質・能力を問うために、小論文と口述試問の試験が行われます。音楽教育に関する知識や技能のみならず、幅広い視野や興味・関心、柔らかな感性、独創的な構想力、論理的な思考力、持続的な行動力などを兼ね備えた人材が期待されています。

修了後の進路

 修了生の進路には、主に以下の三つの方向があります。

その他

 授業研究やフィールドワーク、演奏を通して、幼児教育から学校教育、生涯学習に至るまで様々な音楽教育の実践現場と密接に連関しながら教育研究を推進している点が大きな特色で、2005年度は台東区や足立区、船橋市などと連携しながら実践研究を展開しています。

Q&A

Q. 理論と実践の統一を目指した研究というのは、具体的にはどのようなものか?

A. 学生自身が実践をした研究としては、例えば、ピアノやホルンなどを実際に教えながら、その指導過程や指導法を研究にまとめたものがあります。また、学生自身が実践するだけではなく、幼稚園や学校などで指導を観察し、その記録を分析、解釈する研究もあります。

Q. 教員への道を考えているが、教員採用試験の対応をしているのか?

A. 教員採用試験対応のカリキュラムが組まれているわけではなく、授業もありません。個々の希望に即して、自己PR文の添削などのサポートをしています。

Q. 毎週ある実技のレッスンは、個人レッスンか?

A. 時間の長短はありますが、実技の専攻の学生と同じ個人レッスンです。音楽教育専攻の学生には、年度末の試験は基本的にはなく、修士演奏のみとなります。

Q. 入試の小論文は公表されているのか?

A. 過去2年分は教務係で閲覧が可能です。

Q. 音楽学を選択して入学した場合、実技科目の履修はどのようになるのか?

A. 実技のレッスン、修士演奏はありません。音楽学の先生の下で実習を受けます。

Q. 他大学の科目履修生と芸大音楽教育研究室の修士課程に、同時に在籍することは可能か。

A. 科目履修生になる当該大学の規定を確認してください。芸大には、抵触する規定はありません。

Q. 修士課程に在籍しながら、学部開講の授業を履修することはできるか。

A. 科目によります。カリキュラム上ひらかれている科目のみ履修可能です。

Q. 他大学出身者が、こちらの大学院で中学校と高等学校の音楽の教員免許を取得することは可能か。

A. 学部でこれらの免許(一種)をすでに取得している場合、大学院で所定の単位を修得すれば専修免許を取得することが可能ですが、他大学出身者が本大学院に所属しながら本学部の教職課程を履修して、新規に免許を取得することはできません。

Q. 受講すべき音楽教育の授業は、週に何時間くらいあるか。

A. 90分授業で7〜8コマ(1年)、2〜3コマ(2年)です。

Q. 大学院で小学校の教員免許はとれるか。

A. 学部でも大学院でも、小学校の教員免許は取得できません。

Q. 地方でも、修了生の採用需要はあるか。

A. 本研究室の修了生は、これまで、首都圏のみならず、広く全国の教員養成系・保育者養成系の大学、音楽大学等の教科教育担当教員として採用されています。

Q. 大学設置基準14条に該当するか。

A. 該当しません。

Q. 大学として、実技試験の伴奏者を紹介するシステムはあるか。

A. ありません。

Q. 教育学や教育学者とかかわりの強い研究も可能か。

A. 広く音楽教育にかかわるものであれば可能です。

Q. 研究生は、音楽大学の修士課程を出ていなくても受験できるか。

A. はい、大丈夫です。

Q. 基礎能力試験の準備が大変だが。

A. 外部の方が不利ということは決してありません。

Q. 自分の研究テーマ(具体的なテーマは省略)は、音楽教育の範疇に入るか。

A. 研究対象の問題というよりも、視点の問題だと思われます。

Q. これまでに、教員養成課程のカリキュラムに関する修士論文は、どのくらい出ているか。

A. 音楽教育のホームページに一覧が掲載されています。

Q. 過去の修士論文は、どこで閲覧できるか。

A. 研究室に揃っています。

Q. 上野キャンパスと千住キャンパスで開講される授業の割合はどれくらいか。

A. 修士課程1年生の場合、6:4くらいです。

Q. 学校教育に関する授業は、どのくらいあるか。

A. 教員養成は、学部で行っています。大学院では、授業研究等を通して実践研究を深めています。

Q. 修士課程から博士後期課程に進学する人の割合は、どのくらいか。

A. 修了後、いったん仕事についてから博士課程に入学する人もいるため、一概には言えませんが、平均して1学年に1名くらいだと思います。

Q. 千住キャンパスで実践はできるか。

A. 授業として現場とかかわる機会はつくっていこうと思っていますが、研究のフィールドは、自分で開拓するのが原則です。

Q. 社会人と学生は兼ねられるか。

A. 博士後期課程では、常勤の仕事と兼ねている例がみられますが、修士の場合には授業に多くの時間がとられるため、前例はありません。

Q. 音楽教育の実技担当はどのようにして決まるのか。また、修士課程修了時の実技試験は、どの程度のものが要求されるか。

A. 実技の担当教員について、(希望をとるかどうかは)専攻によって異なりますが、多くの場合、当該専攻の会議で決定されます。修士演奏については、当該専攻の修了演奏に準じますが、演奏時間は若干短い傾向にあります。

Q. 音楽教育の授業は、音楽教育研究の内容や方法について学ぶためのものであるという説明があった。自分は、将来教職に就きたいと思っているが、ここでは学校教員になるための授業をやらないということか。

A. 教員養成のためのカリキュラムではないという意味です。学校教育における音楽教育が、音楽教育研究の最も重要な柱の一つであることに間違いはありません。

Q. 音楽学では、大学院に入学した時点から専門が何種類かに分かれているようだが、音楽教育の場合はどうか。幼児の音楽教育や障害児の音楽教育などの様々な研究分野を網羅的に勉強できるのか、それとも自分で決めたテーマのみを追究していくのか。

A. ゼミでは、音楽教育全般についての基本的な知識を獲得する場と、自分の研究について報告したり議論したりする場の両方が設けられています。

Q. 自分の研究テーマが、教育に限定されず、他領域とも重なり合うものである場合、音楽教育研究室を選択することは妥当か。

A. 学際的なテーマの場合は、研究対象や方法論を絞り込む過程で、どの領域に重点を置くかという点から、自分自身で判断してください。

Q. 院生の中で、他大学出身者はどの程度いるか?

A. 半数近くが他大学出身者です。

Q. 私は、音楽教育に在籍しつつ、同時にピアノ演奏についても深く研究したいと考えているが、可能か。

A. この研究分野に在籍しつつ、実技演奏をも研究することは、論文のテーマ設定によっては、ある程度可能であると考えられます。

Q. 教員免許状をもっていなくても受験は可能か?

A. 可能です。教員免許状取得の有無は、合否の評価対象になっていません。

Q. 修士課程入学前に教員免許状1種をもっている場合、専修免許の取得は可能か?

A. 「音楽」の教員免許であれば、大学院において指定された授業の中から一定の単位を取得すれば専修免許の取得が可能です。音楽文化学の他の研究分野についても同様です。

Q. 音楽教育の受験生のうち、「楽器等の実技試験」を受験する者に課される語学試験は、どれか。

A. 募集要項にあるとおり『「楽器等の実技試験」または「音楽学の筆記試験」』の受験に際して選択した専攻に課されている語学試験を受験していただきます。

Q. 「楽器等の実技試験」の受験後に、1次の合格発表はあるか?

A. いいえ、ありません。最終合格発表のみです。

Q. 小論文試験に、下書きの持ち込みはできるか?

A. できません。

Q. 小論文試験に、下書き用紙は配布されるか?

A. はい、配布します。

Q. 小論文試験で記述する研究計画と入学後に実際に行う研究は、完全に一致していなければならないか?

A. 出発点では研究計画に基づいているのが当然ですが、研究を進めてゆくプロセスにおいて若干の変更が生じることはありうると思います。

Q. 実技のレッスン時間はどのくらいか?

A. 専攻する楽器等によって異なります。

Q. 社会人入試の研究計画、専攻論文とはどのようなものか。

A. 研究計画は、入学してからの研究目的、研究内容などを書きます。専攻論文は、こちらが指定したテーマに基づいて論述します。学校の音楽教育に関する出題となります。

Q. 博士後期課程に社会人入試はあるのか。

A. 今回は修士課程のみです。

Q. 論文執筆にあたって海外へ調査に行く機会はあるのか。

A. 調査のために海外に行き、論文を書いた例があります。

Q. 『音楽教育研究ジャーナル』の閲覧は可能か。

A. 研究室での閲覧はご遠慮いただいています。図書館の蔵書をご自身でご覧いただくことは可能です。

Q. 一般入試の口述試問の内容はどのようなものか。

A. 受験生によって内容が変わります。

Q. 修士課程で学ぶ心理学は、音楽心理学に限られたものか。心理学全般か。

A. 教育、音楽に関係する心理学を学びます。

Q. 社会人入試では実技試験が課せられていないが、入学した後、レッスンを受けることは可能か。

A. 入学後、レッスンを受けることはできません。学部の副科を取ることもできません。

Q. 社会人でも一般入試を受験することが可能か。

A. 可能です。

Q. ドイツ語の入試問題の難易度はどの程度か。

A. 語学に関する質問には答えることができません。教務係にて過去問題を確認することは可能です。

Q. 他大学出身者の場合、基礎能力試験は全員に課されるのか。

A. 音楽教育専攻では、他大学出身者の基礎能力試験が必須となっています。

Q. 専攻実技と論文は、関連付けが必要か。

A. 必ずしも必要ではありません。

Q. 土日に授業はあるか。

A. ありません。

Q. 入試の倍率は?

A. その年によります。

Q. 入試科目の配点は?

A. 非公開となっています。

Q. 現職教員の科目等履修生の募集はどのように行っているか。

A. 教務係で詳細を確認してください。教育委員会から推薦される公立校の教員(長期派遣生)と、学校から派遣される私立校の教員、2種類の制度があります。

Q. 留学生としての入試枠はあるか。

A. 一般入試の受験も可能ですが、外国人留学生の入試は2月に実施されます。

Q. 博士後期課程の受験時に、望ましい学会発表、投稿論文の本数はあるか。

A. 学会発表や投稿論文があるに越したことはありませんが、受験資格の要件としては定められていません。



Last modified: 2016-08-02 11:45:40