東京藝術大学音楽学部

東京藝術大学大学院音楽研究科

 

   学科説明会開催の情報開示



平成18年7月29日に学科説明会を行いました。
開催の決定が直前であったにもかかわらず、当日は学部・大学院あわせて200名を遙かに超える方たちの参加があり、
音楽研究への関心の高さを再確認することとなりました。
参加できなかったみなさんは、学科や専攻科・研究分野の詳細について大学HPに掲載されている情報をご覧いただけるようお願いします。
以下に、当日に行われた質疑応答の内容を掲載しますので、参考にしてください。

なお、入試に関する情報については、芸大ホームページの入試情報をご覧になってください。基本的な情報は、すべてここに記載されています。


    当日の様子  
            




質疑の内容

【一般的な質問】

Q. 学部と大学院の連続性は理解できるが、学部だけで教育は完結していますか?
A. もちろんです。楽理科も音楽環境創造科も学部教育は学部教育として完結しています。
  その一方で専門性を深めていくにあたって大学院進学という道も用意されているということです。
Q. 入学時およびその後の費用について不安があります。
A. 他の国立大学法人と同額に設定された入学料・授業料など、入学に際して必要な諸経費については、ここを参考にしてください。
  また、各種奨学金や授業料免除制度などもありますので、ここも参考にしてください。
  アルバイト等については、授業とのバランスを考えながら慎重に行えば可能ですが、本末転倒にならないよう配慮してください。


【教育内容に関する質問】

Q. 音楽環境創造科のプログラムには美術学部と共同のものもありますか?
A. 共同プロジェクトを行うこともあります。また、授業外の活動として他学科・他学部の学生と活発な交流をもつことを奨励しており、
  現実に、共同で活動を行っている学生も少なくありません。
Q. 音楽環境創造科で教員免許の取得は可能ですか?
A. 今年度から免許の取得が可能になりました。
  しかし、履修しなければならない科目が厳しく制約されますので、相応の覚悟をもって履修計画を立てていただく必要があります。
Q. 卒業制作などのために、スタジオなどの施設を自由に借りられますか?
A. 当然のことですが、施設は授業などの教育活動に優先的に用いられます。
  それ以外の時間においては、必要な手続きを経れば、一定の条件の下で学生が使用することも可能です。
Q. 学生が先生たちの人間関係から何らかのメリットを受けられますか?
A. いわゆるコネクションのようなものに過大な期待は持つべきでないと思われますが、
  学生のみなさんは授業や行事を通して多くの知識を間接的に吸収できるでしょう。
Q. アンサンブルの授業があるようですが、古楽器で参加できますか?
A. アンサンブルは他の楽器との兼ね合いが必要ですから、担当の教員と相談してください。
  これとは別に、副科実技の授業で古楽を選択することもできます。
Q. ホームページの情報以上のことを知りたい場合、どうしたらよいですか?
A. 授業の成果発表の機会でもある「アートパス」(今年度は12月に開催予定)などで、
  例えば実際に在籍している学生の意見を聞くようなことも考えられます。


【入試に関する質問】

音楽環境創造科について

Q. 自己表現の5分間とは、どの時点からですか?
A. 試験官が「自己表現をはじめてください」といってからの5分間です。
  時間内に収まるように、しっかりとリハーサルをして臨んでください。
Q. コンピューターで制作した楽曲を「自己表現」の「演奏」として用いてもよいですか?
  また、CD録音した上で聴いてもらうことはできますか?
A. 自己制作した音楽が「演奏」「パフォーマンス」「プレゼンテーション」のいずれのカテゴリーに該当するか
  という判断はご自分でなさってください。もちろん、CD録音したものを用いることも可能です。
Q. 入試で大学側が用意する機材の種類を教えてください?
A. 募集要項以上の情報はお伝えできません。
Q. 「音楽に関する基礎能力検査」の比重はどれぐらいですか?
A. 採点方法や配点比率等については、お答えできません。音楽環境創造科のホームページにあるFAQを参照してください。
Q. 「小論文」は、どういう観点から評価するのですか?
A. 具体的にはお答えできません。一般的な入試の小論文と同様に考えていただいて結構です。
Q. 大型楽器の貸し出しはありますか?
A. どの楽器についても貸し出しはありません。


楽理科について

Q. 入学試験の副科実技は、ピアノと他の楽器で有利・不利はありますか?
A. まったくありません。
Q. センター試験と二次試験に語学試験が課せられていますが、採点比率はどうなっていますか?
A. お答えできません。採点方法・配点比率等については公表していません。
Q. 過去問題の入手方法について教えてください。
A. 教務係に問い合わせて、請求してください(音楽学部教務係[tel: 050-5525-2309])。
Q. フランス語で受験しようと考えていますが、フランス語の過去問題も手に入れられますか?
A. やはり、教務係に問い合わせて、請求してください。
Q. まだ中学生です。音楽高校ではなく、普通の高校から楽理科を受験することはできますか?
A. もちろんできます。実際、大勢の普通高校出身者がいます。




大学院について


【音楽音響創造】

Q. 録音に興味があるのですが、大学で特に勉強していないことは不利になりませんか?
A. 大学で特に専門の授業を履修していなくても、個人で十分に勉強していれば不利になることはありません。
Q. 入学前に授業を聴講・見学するか、個別レッスンのようなものを受けることは可能ですか?
A. いずれもできません。
Q. 複数の研究分野を持てますか?
A. 主たる研究分野を決めた上で、他の研究分野の授業を履修するなどして横断的に勉強することはできます。
Q. 担当教員の変更は可能ですか?
A. 所属する研究分野における変更は事情によって可能ですが、研究分野をまたいだ形での変更は原則としてできません。
Q. ポピュラー音楽を専攻できますか?
A. ポピュラー音楽の作曲を専門とする指導は行っていません。
  授業の一部で創作技法の対象として分析を行うことはあります。
  研究対象ということであれば音楽文化学の他の研究分野で可能です。
Q. 授業内容を知りたいのですが。
A. シラバス等を参考にしてください。
Q. 美術学部の先端芸術表現科との違いは何ですか?
A. 音楽音響創造研究分野では音楽を中心とした時間的な表現に重きをおいています。
  個々の教員の専門性と学生の作品や研究テーマなどからご判断ください。
Q. コンピュータ・ミュージックが主体なのですか?
A. 重要な分野として扱っていますが、主体ではなく多様な表現のうちの一つと考えています。
Q. ファッションショーに興味があるのですが・・・。
A. 音楽の創作、あるいは、PAなどの音響的な表現を研究するということであれば、研究対象とすることも可能でしょう。
Q. 日本の伝統的な様式を新しい表現で行うことは可能ですか?
A. もちろん可能です。すでにそのような作品を制作している学生もいます。
Q. テレビやラジオ番組の音楽や音響を作りたいのですが。
A. 作曲や音響デザインの制作、研究ができます。



【芸術環境創造】

Q. 芸術環境創造科でポピュラー音楽等の研究はできますか?
A. できます。社会学または文化研究的なアプローチになります。
  とはいえ、音楽そのものの構造に関心があるなら、音楽学の先生とも相談した方がいいと思います。
Q. メディアアートの作品を作って講評してもらうことはできますか?
A. アーティストの育成を目的とはしていませんし、作品制作を教えることはありません。
  しかし、批評家、作家(アーティスト)、学芸員、技術者、プロデューサーの役割はどんどんクロスオーバーしてきており、
  論文作成を目指す学生が、さまざまなメディアを使って表現活動をすることは積極的に奨励しています。
  その意味で、批評の一環として講評することはできるでしょう。
Q. 他大学からの入学者はいますか?
A. はい、います。
Q. 音楽制作や映像制作の授業は履修できますか?
A. 学部開設授業には、大学院生でも履修可能なものがあります。
Q. 作曲を勉強していてパフォーマンスに音楽をつけることに興味があります。
  こうした作品制作はできますか?
A. 芸術環境創造は作曲を研究対象とはしていません。
  作曲に興味があるのなら音楽音響の教員に話を聞くことをお勧めします。
Q. 文化政策やメセナの勉強をしたいのですが、応用音楽学を受けようかこちらがいいのか悩んでいます。
  違いを教えてください。
A. それぞれの先生の専門や著作を見て、それと自分自身の研究を照らし合わせて判断してください。


【音楽教育】

Q. 教員免許状をもっていなくても受験は可能ですか?
A. 可能です。教員免許状取得の有無は、合否の評価対象になっていません。
Q. 修士課程入学前に教員免許状1種をもっている場合、専修免許の取得は可能ですか?
A. 「音楽」の教員免許であれば、大学院において指定された授業の中から一定の単位を取得すれば
  専修免許の取得が可能です。音楽文化学の他の研究分野についても同様です。
Q. 音楽教育の受験生のうち、「楽器等の実技試験」を受験する者に課される語学試験は、どれですか。
A. 募集要項にあるとおり『「楽器等の実技試験」または「音楽学の筆記試験」』の受験に際して選択した専攻において
  課されている語学試験を受験していただきます。
Q. 「楽器等の実技試験」の受験後に、1次の合格発表はありますか?
A. いいえ、ありません。最終合格発表のみです。
Q. 小論文試験に、下書きの持ち込みはできますか?
A. できません。
Q. 小論文試験に、下書き用紙は配布されますか?
A. はい、配布します。
Q. 小論文試験で記述する研究計画と入学後に実際に行う研究は、完全に一致していなければならないのでしょうか?
A. 出発点では研究計画に基づいているのが当然ですが、
  研究を進めてゆくプロセスにおいて若干の変更が生じることはありうると思います。
Q. 他の研究分野ともかかわるテーマを設定した場合、どちらの研究分野を受験すればよいのでしょうか?
A. 学際的なテーマの場合は、どちらに重点をおいているかという点から、自分自身で判断してください。
Q. どちらのキャンパスで学ぶことになりますか?
A. 当面は上野キャンパスが中心となりますが、千住キャンパスとの連携を進めていく予定です。
Q. 楽器等の実技レッスンも受けられますか?
A. 音楽文化学専攻のうち「音楽教育」と「ソルフェージュ」の研究分野では、「楽器等の実技」を受験して合格した学生に対して、
  実技レッスンおよび修士演奏を必修として義務づけています。
Q. 実技のレッスン時間はどのくらいですか?
A. 専攻する楽器等によって異なります。
Q. 理論と実践の融合をめざすとありますが、どのような実践が考えられるでしょうか?
A. テーマや専門性によって、様々な実践のレベルと場が想定されます。
  たとえば、実際に楽器を指導してみるということもあるでしょうし、学校の授業を観察するということもあるでしょう。


【応用音楽学】

Q. 他大学出身者にはハンディがありますか?
A. ありません。実際に他大学出身者のほうが数の上でも多くなっています。
Q. その場合でも、音楽大学出身者のほうが有利ですか?
A. いいえ、音楽を専門に学んでいない一般大学出身者も多数入学しています。
Q. スペイン語の過去問題を見たいのですが?
A. ここ数年はスペイン語での受験者がいないため、現在公開している過去問題にはスペイン語の問題はありません。
  レベルについては他の外国語(フランス語やイタリア語、など)を参考にしてください。
Q. 受験する外国語による有利・不利はありませんか?
A. 選択した外国語によって不公平が生じないよう最大限の配慮をしています。
Q. 芸術環境創造との違いは何ですが?
A. 厳密な違いをいうのは難しいですが、教員の専門や方向性が異なっています。
  教員のプロフィールやこれまでの修士論文を確認して判断してください。
Q. 音楽療法の実践経験はありませんが、研究はできますか?
A. 音楽療法をどのような視点から研究して、何を明らかにしたいかによります。
  もとより音楽療法士の資格をとることを目的にしてはいませんから、音楽文化の研究の一環ということであれば、
  実践経験がなくとも、研究を行うことは可能です。
Q. 修了要件単位はどうなっていますか?
A. 修了要件単位は38単位です。必修として応用音楽学演習(4単位)および応用音楽学実習(3単位)を
  2年間にわたって履修してもらいます。加えて2年間であと24単位以上を取得しなければなりません。
Q. 入試の小論文というのは何を問うものですか?
A. 専門的な知識を問うためのものではなく、一般的な論理考察能力を問うためのものです。
  過去問題を参考にしてください。
Q. 最初に決めたテーマ(入試の時のテーマ)と実際の修士論文のテーマは必ず同じでなければなりませんか?
A. 理想的にはそうなりますが、現実としては、多少なりとも変化することのほうが多いようです。
  教員の指導やアドバイスを受けながら修正していくことで、自ずと変わってくるものです。
  ただ、研究テーマや研究計画を評価して合否を決めるわけですから、まったく異なったテーマで研究を開始することは原則としてありえません。
Q. 学生の研究や要望にあわせて非常勤の先生を招聘していただくことはできますか?
A. 原理的には可能です。実際に、学生の希望を考慮しつつ非常勤の先生を依頼してきたというのがこれまでの経緯です。


【音楽文芸】

Q. 創作作品を修了の課題にすることができますか?
A. 現在のところ創作作品は認めていません。修士論文を提出することになっています。
Q. 音楽文芸では、作品の言葉の部分を中心に分析することが求められていて、音楽面の考察は認められないのでしょうか?
A. 楽曲分析だけをなさりたいのであれば、音楽学の領分になるので不適当と言わざるをえません。
  しかし、詞章と共に、作品の中での音楽の使われ方などについて研究することは研究手法として十分認められると思います。
Q. 歌劇、歌曲などの翻訳の問題は研究課題となり得ますか?
A. 研究のやり方次第ですが、研究課題となり得ます。
Q. 一般大学からの受験生は、受験の際、特に音楽史などで不利ではないでしょうか?
A. これまでの入学者も、必ずしも音楽大学出身者(含芸大)ではなく、京大・千葉大・早大・上智大・ICUなどからも
  入学しており、特に不利な要素にはなっていません。
Q. 音楽を(演奏も含めて)本格的に勉強してきたわけではないのですが、研究をする上で支障はないでしょうか?
A. 音楽に関する技能や知識を有していることは、研究する上で有益であるとは思いますが、
  それが必ずしも必要な条件であるとは考えておりません。研究の対象や手法によっては十分研究を遂行できると思います。


【音楽学】

Q. スペイン音楽を研究したいのですが、どのゼミに所属すればよいのですか?
  西洋音楽でしょうか、音楽民族学なのでしょうか? A. どのような方法論で研究したいかによります。
  いずれかのゼミに所属した上で、他の授業に参加することも可能です。
Q. スペイン語の授業はありますか?
A. 大学院では初級レベルのスペイン語の授業は開講していません。
  しかし、学部で開講されている語学の授業を履修することができます。
Q. 近現代の日本の洋楽を研究したい場合は、どうすればいいですか?
A. いずれかのゼミに所属した上で幅広く研究することになります。
  過去の例としては、武満徹やチェレプニンの研究などがありました。
Q. 音楽美学の研究対象には形式主義的なものの他に批評理論なども含んでいると考えていいですか?
A. 音楽美学はそれらすべてを含んでいます。
  ホームページなどから、過去の修士論文や博士論文の内容を確認してください。
Q. 応用音楽学と音楽学の違いは何ですか?
A. 簡単に答えるのは難しいですね。担当教員の専門分野や方法論が異なっています。
  例えば、所属している学生の研究アウトプット(論文など)を見て判断してください。
Q. 自分の研究したい対象について専門の教員がいない場合は、自主的に研究していくのですか?
A. 教員は音楽学研究の知識、研究の方法論や枠組みを指導する立場にあります。
  研究テーマによっては、学生が自律的に研究を進めていく必要があり、そのための能力を持っていることも重視しています。
Q. 楽器についての研究は可能ですか?
A. もちろんです。歴史的、理論的、文化的側面からの研究は可能です。
Q. ピアノを専攻しており、演奏に結びつくような研究を目指していますが、そのような研究は可能でしょうか?
A. 学問と演奏をどう結びつけるのかはご自分で考えてください。
  場合によっては器楽専攻(ピアノ)に入学して学問的な論文を書き上げることも可能です。
  例えば過去の博士論文一覧を参照してください。
Q. 音楽文化学専攻の7つの研究分野、また音楽学研究分野におかれた複数のゼミの間で、
  授業などの交流はありますか?自分が所属していない講座の教員と気楽に話すこともできますか?
A. もちろんできます。必修科目以外の選択科目は、自由に選ぶことができますので、
  思う存分に交流してください。
  なお音楽学研究分野の中では、総合ゼミナールや博士コロキウムの場で活発な交流が行われています。
Q. 大学院でBGMの研究をしたいと考える場合、芸術環境創造、音楽音響創造、応用音楽学、音楽学など、
  さまざまな可能性があるように思いますが、どうしたらよいでしょうか?
A. どの研究分野に所属したとしても、それぞれの視点からの研究が可能です。
  いずれにせよ、学外も含めた幅広いネットワークを作ることが学生の研究能力の一部と言えます。
  積極的にさまざまな指導を受けて欲しいと思います。
Q. 美学を専攻しているのですが、これからオペラに研究領域を広げていきたいと思っています。
  修士課程への入学を希望する場合、音楽の専門能力はどのくらい要求されますか?
A. 美学の素養は音楽研究にとって十分に有効なものです。
  ただし、他大学出身者の場合には入試の段階で音楽に関する基礎能力試験が課せられることがあるので、
  過去問題を検討した上で、自分のレベルを判断してください。
Q. 合格から入学までの期間に、授業を聴講することは可能ですか?
A. いいえ、そのような制度はありません。