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資料紹介(図書)
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鉦鼓の起源と架に秘められたシルクロードの文様 / 畦地啓司. 秋田: 書肆フローラ, 2008.12. [B3 33/A993]

 本書は、これまであまり取り上げられなかった鉦鼓の研究書として、興味深いものです。
 前半では、鉦鼓が雅楽で用いられるようになった経緯に着目し、まず、現存する鉦鼓の歴史的考察と、諸文献の記録、壁画等を比較しつつ、その起源を探求しています。
 後半は、鉦鼓を掛ける「架」についての考察です。現存する中世以前の鉦鼓架、壁画や絵巻などにみられる鉦鼓架の造形や装飾を比較、分析し、架の造形が近世以降変化していることを指摘しています。
  シルクロード全域に分布する「パルメット文様」に関する研究を軸とし、伝承の断絶によって失われた、背後にある造形思想についても考察します。
  架に着目した研究は先例がなく、注目に値します。 

(高原)

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