戻る | 前のページへ | 次のページへ

資料紹介(図書)
18

Arthur Honegger : Werk und Rezeption, l'œuvre et sa reception / Peter Jost (Hrsg.). Bern: Lang, c2009. (Publikationen der Schweizerischen Musikforschenden Gesellschaft, Ser. 2, V. 49) [E/S413/2-49]

  本書はA.オネゲル没後50年の2005年11月25~26日、ミュンヘンのInstitut françaisで行われたシンポジウムをもとに編纂された論文集です。
   オネゲルといえば、スイス・フランス・ドイツという三つの「顔」を持ち、1920年フランス六人組の「結成」以来、良かれ悪しかれ「最も六人組らしくない」と言われ、そして晩年の著作活動から「ペシミスト」とみなされてきました。本書における実にさまざまな角度からの学術的研究によって、オネゲルのこうしたイメージがより明確になるでしょう。また、オネゲル-コクトー間の未公開書簡や、音楽史書におけるオネゲル評価など資料的価値の高い論文、《パシフィック 231》や《スケート・リンク》をはじめとする作品研究などもあり、まさに世界各地の研究者たちの叡智が集結したものとなっています。
   オネゲルに関してはこれまで、主として「作曲家と作品」というアプローチの研究は数多く出版されていますが、こうした多彩な内容を持つ論文集は極めて画期的といえます。「こういう研究書が欲しかった!」というツボが押さえられた、おすすめの一冊です。

(成田)

戻る | 前のページへ | 次のページへ