東京芸術大学 大学院 音楽研究科
音楽文化学専攻 芸術環境創造研究分野
質疑内容

Q. 修論を書くにあたり、社会学の文献も必要になると思いますが、図書館はどれだけ充実していますか

A. 図書館は音楽や美術の文献は充実していますが、社会学やマネジメント、身体芸術の文献が充実しているとはいえません。

Q. 卒業後の進路は?

A. 1期生の就職状況と2期生の内定状況を合わせてお答えしますと… 芸環の博士課程に進学(2名)、公立文化施設関係(3名)、(財)地域創造や国際交流基金などの政府系芸術支援機関(2名)、大手広告代理店や外資系などの企業(2名)。

Q. 大学院の2年間で音楽の教職を取得することは可能ですか?

A. 大学の学位や取得単位によって異なりますが、原則的に大学院の2年間のみで音楽教職免許を取得することはできません。

Q. 他大学から何人くらい入学していますか?

A. 昨年の合格者7名のうち音楽環境創造科の卒業生は1名、美術学部先端芸術科が1名、他大学からが5名です。後は、オーストリア、韓国、アイスランド、カナダなど海外からの留学生や研究生がいますので、国際色が豊かです。

Q. 他大生の入学人数に制限はありますか?

A. 制限はありません。

Q. 音楽学部以外から受験するのですが、どのくらいのレベルの音楽知識や実技能力が必要ですか?

A. 入学試験で音楽史が課されます。入学後は必修科目として音楽の授業が課されることはありません。各自の研究テーマに応じて必要な研さんを積むということでしょうか。もちろん楽器が弾けるようになったり、楽譜が読めるようにならないと修了できないなどということはありません。これまでの他大学からの入学者は音楽大学の出身者はゼロです。

Q. 舞台芸術(身体表現)についての研究をしたいと考えておりますが、どの程度まで研究範囲は広がるでしょうか

A. 教員側の守備範囲とある程度接点がないと指導が難しいです。担当教員は演劇も美術も現代が専門です。

Q. 実践的に舞台作品を作る機会はあるのでしょうか

A. 大学院の中で作品を作るのは難しいです。
 学部生は、プロジェクトという授業の中で作品制作を行っていますので、それを受講することはできますが、その中で自分の作品を作ることは事実上難しいと思います。
 大学院の学生で作品制作を行っている人は、学外で活動しています。

Q. 身体芸術関係の学生の研究テーマについて教えてください。

A. ストラヴィンスキーの「春の祭典」の振付比較論、俳優教育についての日米比較などです。

Q. 応用音楽学との違いは何ですか?

A. 研究テーマや方法論が異なります。
 研究テーマでいえば、文化財保存の研究や経営分析などは応用音楽学のほうの先生のほうがご専門です。芸術環境創造はプロデュースの現場にこだわり、表現と享受者や社会との関係を社会学などの批評的視点で分析する研究を目指しています。したがって、方法論も、文献調査による歴史比較などの包括的な視点より、むしろフィールドワークを通じて、一つの現場の分析にこだわる傾向があります。

Q. フィールドワークを行うとのことですが、NPOの研究やアートマネジメントの研究でも外に出るんですか?

A. はい。
 むしろ、外に出てみないと分らないことが多いでしょう。調査を行う対象に関しては、学生にあったNPOや文化施設を紹介することも可能です。
 アートマネジメントの分野では、学部生のプロジェクトの授業に院生も参加し、チームで学外の現場や調査に参画します。院生はチームのリーダー役をつとめ、実践の中でより専門性の高い研究テーマを設定します。

Q. 身体表現という面で先端芸術専攻との違いはなんでしょうか?

A. 先端芸術表現専攻については、直接先端芸術専攻のホームページ等確認するか、直接お問い合わせ下さい。芸術環境創造では、ダンスを取り巻く社会環境の分析や、作品比較などを通じて論理的に現代を捉えていくことを目指します。

Q. 指導教員はいつ決定するのですか?

A. 入学後に決定します。ただし、せっかく3人違う観点の教員がいるので、3人から複合的に学べると思ってほしいです。

Q. 文化政策やアートマネジメントの実践で挙げられる、研究対象は音楽・演劇に限られるのですか?例えば美術的なアートイベントを研究対象にすることは可能ですか?

A. 研究対象にはなりえますが、修論を書くときには少なくとも音楽を含めた芸術・文化全体にかかわるテーマ設定が要求されます。

Q. 先端芸術表現専攻でも企画の立案運営ができると思いますが、違いは?

A. 先の質問と同じく、先端芸術表現専攻については、ホームページなどでご確認下さい。芸術環境創造では、企画運営のプロセスをひとつひとつ検証して支援者や享受者との関係構築を考えてゆきます。資金調達、広報、地域との折衝、表現者の扱いなど、マネジメントの現実的な技術にこだわりつつ新たな表現の場を開発していきたいと思っています。

Q. 院生室というのがあると思うのですが、学生はどんな学生生活を送っていますか?

A. 院生室にはパソコンがあるので、そこで作業をしたり、交流の場となったりしています。しかし、学外で自分の研究をしていることのほうが多いのではないでしょうか。

Q. カルチュラル・スタディーズの大学院の授業は、どんな内容ですか?

A. フィールドワークの指導や文献(原典)を読む授業があります。少人数ですので、読む文献も履修する学生たちの関心を考慮して決めているようです。

Q. アルバイトはできますか?

A. もちろんできますが、マネジメントの分野で実際に企画を立ち上げるとなると、学外の人たちとの打ち合わせが多くなります。相手のあることですから、スケジュール調整の自由度が減ることは事実です。


Last modified: 2008-08-06 13:17:08