授業案内 2008年度

201120102009|2008

授業時間割

2008年度通常授業時間割
MonTueWedThuFri
1
2 美学特講/松尾 芸術学演習Ⅰ/松尾 美学特講/村山
3 美学特講/大熊 美学特講/金田 美学概論/松尾
4 本年度休講 美学演習/松尾
5 本年度休講
美学課題演習は7月下旬と9月中旬に実施。

授業内容

美学概論/松尾 大
金曜3限|第4講義室|通年|4単位

美学の体系的概説

佐々木健一『美学辞典』(東京大学出版会, 1995)を教科書として用いる。

授業の目的は、美と芸術についての基本的知識の習得と、基本的問題についての思考能力の養成である。

その方法は、上記の教科書の各節ごとに私がコメントを述べたあと、そこに含まれる問題を提示し、授業参加者にその問題を考えてもらうというものである。

進度は、教科書の一つの章を一回の授業にあてることを原則とする。

各章の内容は以下の通り。

基礎的な諸概念

  • 1. 美学
  • 2. 美
  • 3. 自然美
  • 4. 芸術

生産に関する諸概念

  • 5. 模倣
  • 6. 表現
  • 7. 即興
  • 8. 図式
  • 9. 想像力
  • 10. 天才
  • 11. 創造/創造性

対象に関する概念

  • 12. かたち
  • 13. 修辞的文彩
  • 14. 様式
  • 15. 象徴
  • 16. 作品
  • 17. 美的質/美的範疇
  • 18. 価値

消費と再生産に関する諸概念

  • 19. 美的態度
  • 20. 趣味
  • 21. 美的判断
  • 22. 解釈
  • 23. 批評
  • 24. 美的体験
  • 25. コミュニケーション

成績評価方法: 出席50%, 前期試験25%, 後期試験25%
芸術学演習Ⅰ/松尾 大
水曜2限|第5講義室|前期|2単位

美学・美術史研究の実践

芸術学科 学部1年生を対象とする。

テクスト読解と議論の練習を行う。

テクスト読解としては、できるだけ多様な内容の文献を選び、その読み方を練習する。

コピーを配布するので、受講者はあらかじめ読んできて、授業時間中は質疑、議論に当てる。

議論の練習としては、一定のテーマについて肯定否定両方の主張を立て、それを補強する議論を枚挙することが受講者に要請される。

あらかじめテーマを設定し、授業時間までにそれを準備する場合もあれば、その場でテーマを設定し、即興で枚挙する場合もある。

形式としては、はじめのうちは口頭、あとでは文書も取り入れる。

成績評価方法: 平常点100%
美学特講/松尾 大
月曜2限|芸術学科会議室|通年|4単位

美学教科書の修辞学的読解

授業の目的は、内外の美学教科書をレトリック的観点から読解する力を養うことである。

美学の教科書は、美学を専攻する学生、美学を多少とも知っている学生を必ずしも相手にするわけではない。

そこで、初学者に対する格別の配慮が必要となる。

従って、もともとレトリックが専門家でなく一般人を聴衆として想定していたのと同じ構造がそこには認められる。

そこで、美学教科書解読の一視点としてレトリックという枠が有効になる。

上級学年にとっては、美学教科書の内容は周知のものであるから、もっぱらその言説に組み込まれた説得装置に焦点を合わせて読む力を養成することが目的となる。

初級の学生にとっては、美学教科書の内容の学習に比重が置かれる。

授業形態としては講義と演習とを併用する。

成績評価方法: 出席50%, レポート50%
美学特講/金田 千秋
木曜3限|芸術学科会議室|前期|2単位

カント美学について

カント『判断力批判』(1790)における“ästhetisch”の「両義性」(「感性的」と「美的」)の問題。

ヨハン・アウグスト・エーベルハルトの美学とカントについて。

成績評価方法: レポート
美学特講/大熊 治生
月曜3限|第3講義室|後期|2単位

日本文化と道の思想

現代にまで伝わる日本の文化の原型は大体室町時代頃から成立し始めたと考えられるが、そこでは仏教や中国の道教などの思想と日本の生活の伝統が融合して、日本独自の「道」の概念が成立した。

それは「芸道」という形で文化として結実し、その実践の方法として「型」という理念が見出されていった。

この授業では「道」と「型」という二つの概念を中心として、室町時代以降に形成された日本文化の思想を読み解いていく。

成績評価方法: 成績評価方法:出席30%, 試験70%
美学特講/村山康男
金曜2限|第3講義室|後期|2単位

現代芸術論

現代の美術家のさまざまな作品や芸術思想を通覧すると、そこに見えてくるのはワークショップという概念であり、また作り手と受け手のコミュニケーションや結びつきをどのように形成していくのかという問題である。他方で、現代芸術を現代という時代や社会のあり方から広く俯瞰してみると、情報社会と消費(化)社会の諸問題が芸術のこれまでのあり方に根本的な変容をもたらしつつあることもわかる。そこで授業では、まずは個々の美術家の作品や思想を検討した上で、そこに共通して見受けられるワークショップの思想といったものをつかみ出してみる。一方、現代社会を消費化と情報化のシステムとして捉えるとき、そこには近代が芸術の本質を個性や独創性といった概念で捉えていた地平とは別のものが垣間見えてくる。消費化の契機は作り手と受け手との関係を逆転し、個性や独創性の概念をその根底から穿つ。また情報化の契機は芸術の質量的側面を空無化し、芸術の体験のあり方に変容を迫っている。それでは、ワークショップ、消費、情報化の三つの方向性の交わる地点では何が起ころうとしているのか。それを皆さんと一緒に考えていきたい。

成績評価方法: レポート
美学演習/松尾 大
金曜4限|第1演習室|通年|4単位

美学文献の読解

この授業は美学テクストに即して思考能力を養成することを目的とする。

そのために、美学テクストを手がかりにいろいろな思考を実際に試みるという方法を採用する。

「いろいろな思考」には、テクストを直接に対象とした形式の思考(翻訳、注釈、解釈、批判、評価)と、テクストを間接的に対象とした形式、つまりテクストから触発される問題について、テクストから或る程度独立して考えることとがある。

参加者には、上記の作業の他、当該テクストと別のテクストを比較した結果の口頭での報告を随時課す。

使用するテクストは日本語または英語とする。

領域的には、音楽、美術、舞踊、映画、演劇、文学、メディアアート、アニメーションなど、できるだけ広いジャンルにわたる文献を選択することによって、多様な芸術現象に対する関心を喚起したい。

成績評価方法: 出席80%, 口頭報告20%
美学課題演習/松尾 大
7月下旬・9月中旬|芸術学科会議室|通年|4単位

研究発表

美学専攻の大学院生を対象とする。

院生各自が各々の研究テーマに沿った発表をし、参加者全員でそれについて議論する。