ドイツ・ネーデルラントの近世版画 マクシミリアン1世の時代を中心に Preface

 このたび、2004年度の第二回芸大コレクション展「ドイツ・ネーデルラントの近世版画 ― マクシミリアン1世の時代を中心に ― 」を開催することとなりました。 本展は、同じ会期で開催される特別展「HANGA 東西交流の波」展にあわせて行われるもので、芸大美術館所蔵の西洋近世版画を中心に展示するものです。 なお今回の展示では、町田市立国際版画美術館、ならびに株式会社雄松堂書店より出品協力をいただきました。

 ルネサンスの開花した近世ヨーロッパでは、15世紀中頃以降、中世以来の羊皮紙による彩飾写本に代わって、活版印刷技術の実用化によって、書籍が大量に刊行されるようになりました。 さらに、木版画・銅版画の技法が発展し、版画制作が盛んになりました。 そして、書籍・版画という新しいメディアは、文字と図像を伝播するものとして、人々に大いに貢献したのです。 そしてこの特性を最大限に活用したのが、16世紀に権勢を誇った神聖ローマ皇帝、マクシミリアン1世でした。

 本展では、マクシミリアン1世の時代に展開した版画・書籍46点を中心として、主に15〜16世紀に至るドイツおよびネーデルラントでの版画芸術の展示を行います。 同時開催の「HANGA 東西交流の波」展では、19世紀後半から現代にわたる東西文化交流の展開、という視点から版画を再考察するものですが、本展は、近世ヨーロッパのある特定の地域・時代に花開いた、西洋版画史にあらわれる最盛期の一断面をご紹介します。 これによって、版画というメディアが果たした歴史的な経緯の様々な例をご覧いただくことが可能となるでしょう。

Admission

2004年度コレクション展
「ドイツ・ネーデルラントの近世版画 ―マクシミリアン1世の時代を中心に― 」

会期: 2004年11月13日(土)-2005年1月16日(日)
会場: 東京藝術大学 大学美術館 展示室2
休館日:毎週月曜日(ただし1/10は開館、翌日休館)、年末年始(12/27〜1/4)
開館時間:10:00-17:00(入室は閉館の30分前まで)

観覧料: 一般 300(250)円 高・大学生 100(50)円
*()は20名以上の団体 *団体観覧者20名につき1名の観覧者は無料 *特別展「HANGA 東西交流の波」御観覧の方は無料。