「邦楽器が受け継ぐ 技・形・音 こめられた丹精」関連企画

  実演

三味線の革張り(根ぎし 菊岡三絃店)
開催日:11月22日(土)13:00〜
    11月23日(日)13:00〜、11月24日(月祝)13:00〜
場所: 東京藝術大学正木記念館1階

太鼓の革張り(有限会社 南部屋五郎右衛門)
開催日:11月29日(土) 10:30〜、 13:30〜
場所: 東京藝術大学正木記念館1階

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太鼓の革張りを行う有限会社 南部屋五郎右衛門の石渡司郎氏と明石光一氏

 当日の様子  

三味線の胴革張り(根ぎし 菊岡三絃店)
根ぎし 菊岡三絃店

堀込敏雄氏(三代目、1938年生)談
明治末期に旧浅草区清島町(現元浅草)界隈で堀込栄吉氏(祖父)が開業。後に上野稲荷町に店を構え、三味線と箏を製造販売した。戦後、歌舞伎関係者など多くの顧客から三味線の依頼が殺到し、箏の製作は取りやめた。昭和35年(1960)、敏雄氏は大阪の中島楽器で修行を始める。当時、同店から全国の邦楽器店や問屋が紅木を仕入れた関係で、修行時代に木材選別の目を養う。昭和37年(1962)に東京に戻り、実父のもとで仕事を始めたころ、店は7〜8名の従業員を抱えていた。最盛期の昭和40〜55年を過ぎると、三味線の需要が減った。
敏雄氏は、約50年にわたり三味線胴作製の全工程および三味線修理に携わってきた。三味線の製作では、演奏者の年齢や用途に応じた素材選びを心掛けてきた、という。高齢者用の胴には軽い素材を使い、若手のプロの演奏家用には胴の革を堅く張るほか、棹の太さにより胴の重さを指定し、その調整はとてもデリケートである。
祖父、父、息子の四代にわたり家業を受け継ぎ、現在、次男の泰成氏(四代目、1972年生)が製作の中心である。三味線の革張りの実演(2014年11月22, 23, 24日)は堀込泰成氏による。

根ぎし 菊岡三絃店:〒110-0003 東京都台東区根岸3丁目12-12 TEL 03-3873-2087

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水に浸しかたく絞った布に、革を巻き付けて湿しておく。


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湿した革に木栓をつけていく(くわえ作業) 。


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左:くわえ作業を終えた後、胴に革を糊で接着し、紐を木栓にかけ張り具合を調整する。右:張り終えた革の余分を切り取る。

太鼓の革張り(有限会社 南部屋五郎右衛門)
有限会社 南部屋五郎右衛門

石渡司郎氏(十三代目、1941年生)談
元禄2年(1689)より、浅草新町(現・今戸)に太鼓店を開業。江戸時代から浅草を本拠地とする、東京で唯一の太鼓店である。革の張り替え依頼を受けた際、胴の内側に「南部屋五郎右衛門」という署名や日付(天保15年(1844)、明治17年(1884)など)を発見し、代々家業が受け継がれてきたことを実感したという。。
また、太鼓の表面の焼き印「南五」や、残されていた大正期の納品書(獅子、おかめ、ひょっとこ、太鼓類、能楽器、毛皮を購入)などからも、店の歴史が読み取れる。昭和10年(1935)頃からは神輿も取扱い始め、以降、太鼓と御輿の製造・販売を手掛ける。十三代目司郎氏は、大学卒業後、22歳から十二代目(父)につき太鼓製作の修行を始めた。
現在は、十四代目石渡浩司氏(次男・1971年生)をはじめ、後継者の育成に努めている。
太鼓の革張りの実演(2014年11月29日)は石渡司郎氏と明石光一氏(1969年生)による。

有限会社 南部屋五郎右衛門:〒111-0041 東京都台東区元浅草2丁目10-10 TEL 03-3843-3335

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左:胴に革をのせる。右:革に通してある固定具に縄をくくっていく。


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左:縄にパイプを通して締め上げていく。右:革を木槌で叩き音を聴く。


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左:聴いた音をもとに、さらに張り加減を調整していく。右:鋲で革を固定する。


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左:鋲を打つ明石光一氏、右:来場者の質問に答える石渡司郎氏。