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資料紹介(図書)
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Galina Ustwolskaja / herausgegeben von Ulrich Tadday. München: Text+Kritik, 2009. (Musik-Konzepte, n. F. ; Heft 143) [C120/M987-3/143]

 ソ連崩壊の後、年々、録音資料や楽譜の出版が増えてきたガリーナ・ウストヴォリスカヤ(1919-2006)。その波に応じて、彼女に関する研究もドイツを中心に増えつつあります。かつてロシア・アヴァンギャルドが西側での受容に端を発し、やがてロシア国内での市民権を獲得して西欧の1920年代と照応させつつ語られるまでになったように、ウストヴォリスカヤの音楽世界も、ソ連の状況下での位置を捉え直し、そこからこの枠組みを越えて省察されていく時期を迎えつつあるのかもしれません。その意味で、この論集に収められているソ連音楽研究で著名なDorothea Redepenningの「ソ連のコンテクストにおけるガリーナ・ウストヴォリスカヤ作品」は大変興味深く、ソ連を遠ざけようとしていた作曲家本人の言葉や作品の宗教性をどのように再解釈できるのか、示唆を与えてくれることでしょう。このほか、4編の論文が収められています。

(中田)

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