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資料紹介(図書)
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20世紀の巨人シモン・ゴールドベルク / ゴールドベルク山根美代子著. 東京: 幻戯書房, 2009.1. [C2/G618]

シモン・ゴールドベルク講義録 : DVD&BOOK / ゴールドベルク山根美代子編. 東京: 幻戯書房, 2010.4. [C2/G618/2]


   『20世紀の巨人シモン・ゴールドベルク』で扱われているシモン・ゴールドベルク Szymon Goldberg(1909-1993)は、ヴァイオリニストおよび指揮者として活躍しました。演奏旅行中にジャワ島で3年間、日本軍の捕虜としての生活を送らざるを得なかったこと、桐朋学園大学の招きで数回にわたり来日し、演奏や教育に情熱を注いだこと、晩年にピアニストである著者と結婚し立山国際ホテルに住まいを構えていたことなど、日本とも大変関わりの深い人物です。
   本書は第1部「その生涯」第2部「箴言」第3部「その教え−薫陶を受けた音楽家たちとの対話から」の3部で構成されています。「箴言」の項目を読んでみると、一見「至極当然」といった内容にも思えますが、よく考えてみると音楽の本質に忠実なままの内容であり、作曲家の意向を尊重することに忠実であれと主張しているゴールドベルクらしい教えのような気がしました。音楽と向き合うにあたり基本に忠実であることは大変重要ですが、つい忘れがちなことでもあります。原点に立ち返りたい時にすぐ読めるよう、自分の本棚にも是非置いておきたいと感じた一冊です。
   『シモン・ゴールドベルク講義録 : DVD&BOOK』では、桐朋学園で行われた「ほぼ1小節毎」と言っても過言ではないほど熱心な公開講座の様子が8枚のDVDに収録されています。ここで取り上げられている曲はヴァイオリンソナタ(Mozart, Beethoven, Brahms, Debussy)と弦楽五重奏曲(Mozart)ですが、弦楽器・ピアノ・室内楽専攻生のみならず、音楽と真摯に向き合う多くの方にぜひ一度ご覧いただきたい内容です。
   なお、2010年7月、ゴールドベルク資料のほぼ全ては音楽研究センターに寄贈され、「シモン・ゴールドベルク文庫」の名のもと、公開に向けての整理が、現在着々と進められています。

 (小高根)

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