東京藝術大学 音楽療法研究会
東京藝術大学 音楽療法研究会
第1回 定例会 記録
1.開催日
平成22年6月16日(水)
午後6時〜8時
2.場所
東京藝大千住キャンパス ゼミ室6
3.参加メンバー
畑、遠山、阪上、蔭山、今野
重田、鵜飼、松井、阿萬野、野口
4.活動
音楽療法研究会の初回を記念して、遠山文吉先生に講演をお願いした。
遠山先生が用意してくださった演題は「私の音楽療法士としての感性を育んでくれた自然」である。子ども時代から自然との交流や自然との対話を大切になさってきた、あるいは、そのような交流や対話に夢中になることで培ってこられた感性というものが、音楽療法士として対象者と向き合い、対象者を理解することに大いに役立つものだという貴重な話であった。文字通り楽しく役に立つエピソードがいっぱいで、予定の2時間があっという間に終了した。
つねに新鮮な驚きの気持ちで世界に対峙することの大切さをあらためて教えていただいた。
5.次回の定例会は9月中の開催を目処に、今後調整することとなった。
遠山文吉先生
記念講演 「私の音楽療法士としての感性を育んでくれた自然」
(講演のごくごく一部をご紹介します)
はじめに
音楽療法に取り組む際に求められる感性には、様々なものがあるかと思いますが、私は特に<状況の変化に対する感性><対象者への対応を含め、自己を表現する際に必要な感性>等を重視したいと思います。こうした感性は、どのようにしたら身につくのでしょうか?音楽療法に取り組む方々一人一人に違いがあると思います。今回は、私自身のことについてご紹介したいと考えます。
1.音楽療法に関係する「感性」とはなにか
2.私の<音楽療法士として必要な感性>を育んでくれた自然との出会い
3.様々な実体験のご紹介
おわりに
私の感性はこうした実際の体験に基づいて育まれたと思います。音楽療法に関係する感性には、どのようなものが考えられるか、もう一度まとめてみます。
1.自分を表現する際に必要な感性
2.観察の感性
3.働きかけの上での感性
4.時間・空間に対する感性
5.対象に対する畏敬の感性
(遠山先生は、こういった感性を「自然」から学びとったのだそうです。そして、講演の最後に、ご自分がつねに考えていることを次のようにまとめてくださいました。)
私は、自戒の意味でいつも次のことを考えている。
・見なければ見えない。見ようとしなければ見落としてしまう。
(注意深く見ることが大切である。)
・聴かなければ聞こえない。聴こうとしなければ見失ってしまう。
(注意深く聴くことが大切である。)
・触れなければ感じ取れない。良く触れることによって、感じ取れるものもある。
(注意深く触れて感じ取ることが大切である。)
・「気づくこと」、これも感性。<気づいて対応すること>に努力することが大切である。
・新鮮な驚きをもって音楽療法に取り組むことが大切である。
・学びの精神を失わないように努力することが大切である。
・<洞察力><推察力><予測力>を身につけることも大切である。