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資料紹介(CD)

2.

Les danses du monde. Chant du monde: CNR 5741106〜7 (CD), tracks 18, 22. Released 1998.
請求記号:CD E687

 このCDには、5大陸・28ヶ国より集められたダンス音楽40曲が収録されている。2枚組で全収録時間は2時間36分、各曲は4分前後と短く、学術的な研究のための音源としては充分とはいえないが、世界各地の様々なダンス音楽を俯瞰するには適しており、入門編としてもふさわしいものである。Hugo Zemp氏をはじめとする30名の民族音楽学者・民俗学者による解説書 (フランス語) は87ページにおよび、豊富なカラー写真の他、リズム構造やダンスの動きを表した図も随所に配され、工夫が凝らされている。動きの要素が重要であるダンスを音楽と文章によって説明することには限界があるが、あえて音楽だけを収録したことにより、その面白さが際立っている。音源は約半数の23曲が未発表のもの、残りはフランス国立科学研究センター人類博物館 (Collection CNRS/ Musèe de l'Homme) のものである。南イタリアの "Pizzica tarantata" は毒グモに刺された人を治療するためのダンスが儀式化した民族舞踊であるが、舞曲タランテラの起源であり、解説にはクモの動きを模したそのダンスの様子が細かく描写されており興味深い (CD I, Track 16)。また、ジャワ島やバリ島と比較すると録音の少ないインドネシア・スラウェシ島トラジャ地方の声楽曲も収録されている (CD II, Track 7)。収録された地域に偏りがあり、東アジアや北米などが未収録なことは遺憾である。 (高原 聰子)

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