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イベント

Ⅲ.講演会

2.芸術リサーチセンター主催講演会

平成24年度には、実技系博士学位に関する調査研究の一環としてSchool of the Art Institute of Chicago(SAIC)教授 ジェームズ・エルキンス(James Elkins)氏を招き、本学芸術リサーチセンター主催の講演会を開催した。講演者であるエルキンス教授は、美術史、美術理論・批評だけでなく、 実技系博士学位に関してもArtists with PhDs(New York, 2009)等、精力的に論評を発表し、活動を続ける世界的な研究者である。

講演会は、越川倫明教授(美術研究科リサーチセンター主任)の司会進行のもと、渡辺健二教授(東京藝術大学大学院芸術リサーチセンター長)の挨拶に続き、エルキンス教授の講演、質疑応答が行われた。講演会参加者は、国内の実技系博士課程を有する諸大学からの招待者をはじめ、本学教員、本学学生及び学外の学生など、のべ約90名となり、活発な議論も交わされた。

講演は、美術における実技系博士学位に関する情報と分析という二部構成で行われ、アメリカにおける美術教育の紹介に始り、質疑応答に終わった。第一部において、エルキンス教授は、実技系博士プログラムの多くの事例、文献、統計資料を紹介し、そして第二部では、いくつかの個別の論点に対して彼ならではの分析を行い、世界的な傾向そして今後の課題を示した。特に「リサーチ」、「自己省察」、「知識/知」という三つの論点は、実技系博士プログラムが直面する困難かつ本質的な問題であった。本講演において示された様々な可能性により、議論は「開かれた」ものとなり、非常に示唆に富む内容となった。こうした観点からも、実技系博士プログラムに関する、さらなる研究が注目される。

なお、本講演会は、本学美術学部紀要第50号別冊(平成25年2月)に「ジェームズ・エルキンス教授講演報告書 実技系博士学位の現状 ―世界の潮流と芸術のリサーチに関する議論―」(安藤美奈、馬 定延、中村美亜、越川倫明)として、記録報告された。

開催日:
平成24年5月24日 15:00-17:00
場所:
東京藝術大学美術学部中央棟第1講義室
講演者:
School of the Art Institute of Chicago(SAIC)
ジェームズ・エルキンス(James Elkins)教授
講演題目:
「実技系博士学位をめぐる諸問題について」

以上

(平成24年度)

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