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藝大リレーコラム - 第五十二回 岡本美津子「日中韓学生アニメーション共同制作(Co-work2021)オンライン実践記」

連続コラム:藝大リレーコラム

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第五十二回 岡本美津子「日中韓学生アニメーション共同制作(Co-work2021)オンライン実践記」

大学院映像研究科では2010年から韓国芸術総合学校(K’ARTS)と学生アニメーション共同制作を開始し、途中2012年から中国伝媒大学(CUC)が加わり、日中韓3校で、学生が共同でアニメーション制作を行うプログラム(Co-work)を実施しています。2016年からは文科省キャンパスアジア事業にも選定され、今年で12年目となります。

これまでは、横浜、ソウル、北京のいずれかに集合し、お互い寝食を共にしながら、グループワークで集中的に企画から完成・上映までを行っていましたが、昨年から一転、コロナ禍の下、全てオンラインで行うことになり、2021年は7月26日から8月7日まで実施されました。面識がない学生同士が、一度も実際に会うことなく、英語でコミュニケーションをとりつつ、一つの作品を共同で短期間に作り上げることができるのか、これは極めて困難なことで、我々教員はこれまでのカリキュラムを一から見直さざるを得ませんでした。

例えば、まず、フリーに企画させることをやめ、あらかじめ映像の企画の元となる音楽を用意しました。2020年度は本学の音楽研究科出身の田川めぐみさん、2021年度は高橋宏治さんにお願いし、テーマに沿った5曲からなる素晴らしい楽曲を作曲していただきました。

次に、参加学生の役割と責任を明確に定義し、毎日10:00と18:00に全教員と全学生が集まる「朝会」と「夕会」を開催し、その日の課題とその日の進捗状況を細かく共有しました。3カ国の教員たちが、毎日顔を揃えて指導にあたるという経験は私にもなく、かなり教育密度の高いプログラムとなりました。

そして、最も難しかったのは使用するシステムの選択です。特に中国はYouTubeやGoogle系のサービスが使用できないために苦労しました。「ファイル共有システム」、「ビデオ会議ソフト」、各グループのプロジェクト管理やコミュニケーションに使う「メッセージングアプリ」、そして発表用の「動画プラットフォーム」など、様々なデジタルツールを複数駆使してリモートでの共同制作の環境を整えました。

このような様々な教員側の準備と苦労もさることながら、最も大変だったのは、参加した学生たちだと思います。学生たちはこの期間内に映像を見事に完成させ、そのクオリティは素晴らしいものでした。その模様と作品は、NHKでも紹介され、2021年8月の日中韓文化大臣会合でも言及されました。

国際共同制作の喜びの一つは、相手の文化や価値観を、現地に行き、直接知ることにあります。ところが今回のように全てオンラインとなった場合は、その喜びは半減します。しかしながら、学生たちが参加し、完成にいたるまで一人の脱落もなく到達することができたのは、コロナ後に実際に会いたいという希望と、仲間たちと作品を作り上げるプロセスを共にする喜びだったのではないかと思います。
「最初は懐疑的でしたが、オンラインで行うグループ作業は楽しく新鮮でした。」学生が話してくれた感想を聞いて強くそれを感じました。

(Co-work2021作品一覧)

これまでの作品視聴はこちら
>>http://caica.online/

 

写真(上):左上筆者 Co-work2021 レクチャーの時の様子

 


【プロフィール】

岡本美津子
東京藝術大学副学長、同大学院映像研究科アニメーション専攻教授/プロデューサー 数々のテレビ番組や映像、イベント等のプロデュース、キュレーションを行う。 主なプロデュース番組に、「デジタル・スタジアム」(2000-2006)、NHKEテレ月〜金放送中の「2355 」「0655」(2010-)、Eテレ「テクネ~映像の教室」(2011-)。 主なプロデュースイベントに「デジタルアートフェスティバル東京」(2003-2005)、「東京藝術大学ゲーム学科(仮)展」(2017)「東京藝術大学ゲーム学科(仮)0年次制作展」(2018)、「ART of 8K」展(2018)など。 審査員・キュレーターとして、毎日映画コンクールアニメーション部門審査員(2019-2020)、 文化庁メディア芸術祭海外展として、アヌシー国際アニメーションフェスティバルにおいて、2018- 2021の総合ディレクターを務める。