メディア映像専攻は従来のメディアやジャンルにはない先鋭な芸術表現やプロジェクト実践を探求する場です。
一般的に、私たちはメディアテクノロジーを通じた対話や伝達の多様性を確保する必要性に日々迫られています。さらには、芸術表現という人類の知的資産にあって、映像の技術革新やデジタル技術の高度化と洗練化との関連がいまほど切実に問われている時代はありません。それは急激な技術革新が進む映像メディアをはじめとするテクノロジーを考慮せざるを得ない同時代性を運命的に背負っています。そうした同時代性を考慮すると、デジタルメディアを駆使して柔軟な表現を送り出し、新しい社会規範や文化様式に大きな影響を与えられる専門家が待望されています。
メディア映像専攻が掲げる教育研究の目標は、メディアという概念を広く捉え、知的かつ先鋭的な対話や伝達に関する技巧や表現形態を開発研究することです。それらの技巧や表現形態は、メディア利用の特殊解という芸術史的な経緯やインターネットをはじめとするグローバリゼーションによる均質化を超え、自然観や人間観を含む新たな表現を創成し、芸術表現の転換と革新をもたらすような方法論でなくてはなりません。そのような理念をもとにメディア映像専攻では、自ら問いを立て、その問いに対して新たな見地から問題解決に取り組み、革新的な芸術表現やメディアプロジェクトの方向性を示すことのできる芸術家や研究者の養成をめざしています。
芸術系やデザイン系の学部で映像メディアを用いた表現を修得した学部卒業生はもとより、音楽や身体表現などの専門分野をもち、メディアを用いて、より多様な芸術表現をめざそうとする方々も歓迎しています。さらには情報学や工学の分野でユニークな開発やプロジェクト実践の経験と知見をもち、さらに自らの表現の幅を広げたい人々にも広く門戸を開放しています。
学部で修得した専門分野とは関係なく、一年次前期では入学者全員が集中的にメディア映像専攻の修士課程を修了するために必要とされる基本的な表現技法やコミュニケーション能力を集中して修得します。一年次後期からは各研究室に分かれて、個人がめざす表現についての先行事例調査や開発研究を担当教員の指導の下に深化させていきます。また修士課程二年次修了の最終審査まで、各学期単位に複数の面談と講評会が専攻全体で開催されていることもメディア映像専攻の大きな特徴です。
メディア映像専攻では以下のような専門家像を想定しています。
・柔軟に映像メディアやデジタルデバイスを駆使する芸術家
・芸術表現の知見や経験をもつエンジニア
・芸術の諸分野はもとより、人文科学、社会科学、理工学などの融合による従来の領域にとらわれない新たな研究分野や方法論の創出できる研究者
・複製技術を用いた文化の資源を、同時代的あるいは歴史的に評価し管理できるアーキヴィスト
過去に修士号を獲得した修了生は芸術家として自立する者はもとより、一般企業や教育研究機関、公共文化施設、非営利組織など多岐にわたる分野で活躍しています。
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