東京オリンピックを間近に控え、レガシーという言葉が飛び交っている。遺産の継承という意味であるだろうが、日本社会の将来という視点に立てば継承だけでは足らない。なぜならアンドレ・マルローがかつて言ったように、また松尾芭蕉が不易流行と表現したように、日本の伝統は革新し創造し続けることにその本質があるからだ。だからこそ時代ごとの世界と呼吸し、世界でも特有な多様性を追い続ける文化がこの国に生まれたのである。
形を変えていくためには、支えていく持続的な構造的思考を把握することが重要である。 東京の新しいエリアである大手町プレイスで東京藝術大学とNTT都市開発が共同で挑んだ芸術実験事業「OTEMACHI ART LABORATORIES」では、「バベルの謎」に続く第 2 次の実験事業として持続可能な伝統創造という問題に取り組んだ。様々な分野に飛び火し融合する鮮烈な時空を超えた創造が、私たちが目指すべき継承の未来を見せてくれることを信じている。今回参加したアーティストの一人である隈研吾氏の名を冠した東京大学のHASEKO-KUMA HALLで、改めて3回にわたる事業を振り返ると共にレガシーの再創造について考えてみたい。(伊東 順二)
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日 時 | 2020年2月3日(月)11時~ |
会 場 | 東京大学本郷キャンパス 工学部11号館 HASEKO-KUMA HALL |
企画・演出・構成 | 伊東 順二(東京藝術大学COI拠点文化外交・アートビジネスグループ特任教授) |
主 催 | 東京藝術大学COI拠点文化外交・アートビジネスグループ |
共 催 | NTT都市開発株式会社 |
協 力 | 東京大学建築学専攻隈研吾研究室、 京都大学大学院総合生存学館アートイノベーション産学共同講座 |
【スケジュール】
11:00– 映像上映、レクチャー、ワークショップ随時開催
「パリ大改造(V・テラノヴァ元仏大統領補佐官、J・ゴーチエ元建設庁長官へのインタビュー)」「カンボジア」ドキュメント
16:00–19:00 基調講演 伊東順二(総合プロデューサー)
●Section 1: 「バベルの謎」の真実 ──3D Babel, 22世紀のバベルの塔、バベルAI映像上映
●Section 2-1: 「art.0」がはばたく ──アンコール・ワット、ノートルダム大聖堂、首里城で生まれたオンライン・アート
●Section 2-2: 講演「時を超える」&パフォーマンス
講演:土佐尚子(京都大学大学院総合生存学館アートイノベーション産学共同講座特定教授) 演奏:中嶋裕康(箏)、日本舞踊:宇津木安来(東京藝術大学COI拠点文化外交・アートビジネスグループ特任助手)
●Section 3-1: 講演「伝統を革新する」
隈研吾(建築家、東京大学教授、東京藝術大学客員教授)
●Section 3-2: 「クリエイティヴ・レガシー」ディスカッション
伊東順二 、 隈研吾 、 楠本正幸(NTT都市開発株式会社代表取締役副社長)
閉会挨拶 (終了後 懇親会あり)