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ミャンマー・バガン遺跡の複製壁画をミャンマー文化省へ寄贈

2014年11月12日 | 全て, 大学全般

 11月5日、ミャンマー連邦共和国(以下、「ミャンマー」)の首都ネーピードーにおいて、大学院美術研究科宮廻正明教授からミャンマー文化省副大臣のサンダーキン氏(Daw  Sanda Khin)へ、ミャンマー文化省からの依頼により制作したミャンマー・バガン遺跡(※)の複製壁画3種25点を寄贈しました。

 この複製壁画は、11/12~13にネーピードーで開催され、安倍晋三首相も出席するASEAN(東南アジア諸国連合)サミット2014においてミャンマー政府からASEAN+3の各国首脳へ記念品として贈呈される見込みです。

 

 本件は、本年10月初旬より本学とミャンマー文化省の双方の合意形成により急速に進展したグローバルな文化外交プロジェクトです。

 宮廻教授がミャンマー文化省に対し、本学独自の文化財複製特許技術(平成22年7月30日 特許第4559524号)の紹介とともに実際に制作した複製壁画サンプルを提示したところ、本物と同等のクオリティーを創出できる本学の文化財複製特許技術にミャンマー文化省が強い関心をもち、本学に対し正式にミャンマー・バガン遺跡の複製壁画制作の依頼がありました。

 その後、ミャンマー文化省との折衝を重ねつつ、急遽組まれた本学の調査団によるミャンマー・バガン遺跡での現地調査で得られた複製壁画の高精細デジタルデータ及び3D計測データを元に複製壁画の制作に着手し、今回のミャンマー・バガン遺跡の複製壁画3種25点の寄贈が実現したものです。

 

 今年は、日本とミャンマーの間で外交関係が樹立されてから60周年の記念の年にあたります。本学の宮田亮平学長は、徐々に深まりつつある両国関係をより一層発展させるためには、政治や経済面のみならず、国民相互の理解を深めるための芸術文化交流が欠かせないとの認識でおり、本件をきっかけに広く東アジアの芸術文化の繁栄と両国の人々の永続的な友好関係に貢献したい旨の書簡を大統領宛にお送りしております。

 具体的には、今後、宮廻正明教授からサンダーキン文化省副大臣へ複製壁画3種25点を寄贈したことを足がかりに、首都ネーピードーで建設中の国立博物館内に設置予定の寺院模型内の壁画制作や、バガン地区における複製寺院の建立、ミャンマーの国民文化芸術大学と本学間の人材交流などについてミャンマーとの協力関係を模索していくことになります。

今後、グローバルな連携による新たな教育・研究活動の展開と芸術文化交流の発展が期待されます。

 

 

※ ミャンマー・バガン遺跡は、カンボジアのアンコール・ワット、インドネシアのボロブドゥールとともに、世界三大仏教遺跡のひとつと称されており、歴史的、建築的にみても独自性を有した貴重な文化財です。

点在するパゴダや寺院のほとんどは11世紀から13世紀に建てられたもので、大きいものや小さいもの、鮮やかな白色をしたものや赤茶色をしたものがあります。仏塔の数は3,000を超えるといわれており、遺跡の仏塔や寺院の内部に描かれた壁画および天井画はシルクロードに伝わった仏教芸術とは異なった高い芸術性が内包されています。

しかし、壁画の大部分は略奪や盗難、自然災害により損傷が著しく、修復の計画もいまだ策定されていません。