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「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に採択されました。

2023年12月26日 | 全て, 大学全般

文部科学省および日本学術振興会(JSPS)が実施する「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に、東京藝術大学を提案大学とする構想が採択されました。

J-PEAKSは、日本の研究力の発展を牽引する研究大学群の形成のため、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学に対して、その研究力を核とした戦略的経営の下、国際展開や社会実装の加速・レベルアップの実現に必要な環境構築を支援する事業です。

東京藝術大学は、連携機関である香川大学、東京大学、東京医科歯科大学および東京工業大学との組織的な協力のもと、本事業を通じて「アートと科学技術による『心の豊かさ』を根幹としたイノベーション創出と地域に根差した課題解決の広域展開」を推進していきます。

本構想は、持続性のある社会に向けて必要となるアートの役割を探究するものです。人の心を動かし、情緒を豊かにするアートの原点・本質を見極め、文化に携わる機関の使命として、多様な才能を結集し、科学技術と共に、人と地球のこれからを想像/創造していきます。

アートの社会的な機能を拡大し、科学者とアーティストが協働することは、国際的な潮流であり、科学技術との融合による課題解決や価値の創出、インパクトの評価を追究することによって、本学の先端性を更に強化します。そして、ひとりひとりが暮らしやすいまちづくりや自然(海洋など)の課題を対象に、都心・地方の特有性をアートで深化させることを通じて「真にWell-beingで誰もが活躍できる持続可能な世界」を目指します。

また、この実現には、障害の有無や背景・文化の違いを越えて多種多彩な人々の相互作用から新たな価値や方法を創出し、人々の意識や行動の変容を促す必要があります。そのために「多様性を認め合う価値観」や「個の心への眼差し」を有するアートの特性・特質を、複雑化し続ける社会の中で作用させていきます。

本学は、今年度4月に立ち上げた「芸術未来研究場」(多様な人々が共創し実践しそのプロセスを発信できる場)をベースにし、課題先進国・日本において、先駆的な海外機関・企業や自治体、異分野の卓越した大学、そして市民と連携し、人の心を豊かにするアートの活動を核として世界を牽引する拠点を形成し、社会に貢献していきます。

日比野克彦学長からのメッセージ

「こころが動く」

未来のことを考えたり、地球のことを思ったり、遠くの人々のことを気にしたりするときに、それをいかに自身の日常とつなげることができるのか、自分ごととして捉えて行動に移すことができるのか、科学技術の発展と共に世界と繋がることと同時にアートならではの人に及ぼす力を社会の中で発揮していき、私たちが望むべき未来の姿の実現を目指していきたいと考えています。

ある時、10人が輪になり、真ん中にりんごを一つ置いて、みんなでりんごを見ながらりんごの絵を描きました。そして、みんなで自分が描いたりんごの絵を見せ合いました。すると、そこには同じ絵はひとつもありません、10人がそれぞれらしいりんごの絵が現れたのです。「AさんのりんごはAさんらしい感じがするかも・・・BさんはBさんっぽいね・・」それぞれが互いのその人らしさを受け入れたり、答えがひとつではないのがアートの特性です。今、地球には約80億の人がいます。そこには80億のこころがあります。80億通りのりんごの絵が現れるのを想像してみてください。そして、たがいにその絵を見ながら心が動く瞬間を想像してみてください。その「こころが動く」ことによって起動される行動の蓄積がきっと多様性を受け入れ、持続性ある社会の実現になっていくのだと思います。