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藝大リレーコラム - 第十回 萩岡松韻「今は昔の物語」

連続コラム:藝大リレーコラム

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第十回 萩岡松韻「今は昔の物語」

私は、1976年に藝大(音楽学部邦楽科箏曲山田流専攻)に入学致しました。今まで年上の人ばかりと演奏をしていました中で入学しましたので、当たり前ですが同年代の人との接触が多くなり大変新鮮な思いで学校に通いました。

演奏活動は、子供のころより演奏会、レコード吹き込み、NHK放送など忙しくして居りましたので、藝大のカリキュラムに習うことが大変でした。

しかし、同年代の親友が沢山出来ました。観世清和(現観世流宗家)、宝生英照(先代宗家)、稀音家祐介、杵屋五三郎、西垣和彦、今藤郁子、仙波清彦等、現在第一線で活躍している皆様です。特に仲が良かったのは、宝生君です。家も近く一緒に通学しました。おかしな思い出は、体育の出席日数が足りなくなり、二人して最終日に朝から晩まで体操の授業を受け、単位を取らせて頂いたことなど楽しい思い出です。その英照くん(てるちゃん)も今は亡き人となり、時折り夢にでて参ります。現在は、その息子さん(和英さん)が藝大を優秀な成績で卒業なされ、立派に宝生流の宗家を継承されて居られます。てるちゃんも、さぞ喜んで居られると思います。私も本当に嬉しく思っております。

また在学中(学部三年)に父を亡くしました。学生業と家業と、本当に苦労致しました。毎日一曲を修得し、お弟子さんに稽古をつけるという乱暴な稽古方法です。でも一年間で何曲も稽古になりました。つくづく思いますのは、稽古は押し売りではだめ、自身が真から必要とし学ばねば身になりません。藝は習うより自身が必要とし盗むものと思います。父と早くに別れたことは、これほど辛く悲しいことはありませんでした。世間の風当たりも違います。苦労致しましたが、大変な人生経験でした。

今は、お陰様で娘たちも、長女(未貴)は藝大博士課程修了・現在非常勤講師、次女(信乃)は藝大修士課程修了、三女(由子)は現在博士課程在学中です。月日の経つのを実感致します。

私も藝大とのご縁ができたことで、伝承し難い秘曲・稀曲の保存、音源収集等々、邦楽研究者の先生方と、少しでも多くの曲を収集伝承し、藝大に保存したく思って居ります。思えば不思議なご縁です。家内(藝大卒業生)と笑い噺をして居りますが、学生の時よりも通学し楽しく勉強させて頂いております。

現在、受け持ちの学生さんたちに時折話しておりますが、まずは、健康で明るく大きな藝を身に付けて頂くよう、一教授者として研鑽努力しております。

少しでも多くの皆様に伝統音楽をお聴かせしたく努力して居ります。思い出を書かせて頂きました。

 



【プロフィール】

萩岡松韻
東京藝術大学音楽学部邦楽科 教授  明治・大正・昭和の三代に渡り活躍した名人、初世萩岡松韻(1864-1936)を初代宗家とし、現四代まで直系が継承し現在に至る。 昭和37年5歳で初舞台、祖父二世萩岡松韻より手ほどきを受け、昭和45年中能島慶子師に入門。中能島欣一・中能島慶子両師に師事。昭和41年、長唄を十四世杵屋六左衛門下の杵屋六梅代師に入門。昭和55年四代目萩岡松韻継承、伊勢神宮にて奉納演奏をする。翌年東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。昭和57年四代目萩岡松韻襲名披露目演奏会を国立大劇場にて開催。平成8年河東節の人間国宝山彦節子師に入門。平成10年十寸見東信の芸名を許される。 平成2年山田流箏曲唄本「撫箏唱歌集成」(全227曲)を創刊。平成4年NHKサービスセンターより山田流歌曲独吟集「歌傳抄」(80曲)を発売。平成11年ビクターよりCD「絲のひびきⅠ」「絲のひびきⅡ」発売。平成13年ビクターよりCD「絲のひびきⅢ」「四代萩岡松韻作品集」発売。 (有)オフィス萩岡より山田流萩岡派箏三弦模範楽譜発行(現在69刊)東京藝術大学より山田流箏曲『四ツ物全集CD付き』を発行。 平成14年第23回松尾芸能賞邦楽新人賞受賞、「第1回萩岡松韻りさいたる」にて文化庁芸術祭優秀賞受賞。平成17年第55回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。平成21年第29回伝統文化ポーラ賞優秀賞受賞。平成26年第3回中島勝祐作曲賞受賞。 現在、山田流箏曲萩岡派宗家。東京藝術大学教授。東京藝術大学同声会理事。(公社)日本三曲協会副会長。山田流箏曲協会副会長。正派音楽院講師、現代邦楽作曲家連盟理事。曠の會同人。