2月3日、田村観光庁長官が東京藝術大学を訪れ、藝大COI拠点「産学官連携棟(Arts & Science LAB.)」を視察しました。
宮廻正明社会連携センター長の案内で、1階エントランスでは、高精細複製技術により復元した、テロによって消失した文化財アフガニスタン・バーミヤン東大仏の天井壁画「天翔る太陽神」をご覧いただきました。この「天翔る太陽神」はG7伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)のサイドイベント「テロと文化財」でも展示し流出または消失した世界中の文化財を「もの」としてだけでなく精神性や意図までも再現することにより、文化財の破壊を無力化し文化の共有を実現することが可能となることをアピールしたことが説明されました。続いて、法隆寺釈迦三尊像3D復元プロジェクトについて、復元途中の釈迦三尊像と台座をご覧いただきました。本プロジェクトは、鋳物技術の伝統を誇る富山県高岡市と協力して鋳造に取り組み、井波彫刻で名高い同南砺市の協力を得て、仏像本体と光背で約1トンとなる重さに耐えられる台座を造っていることを説明しました。
2階コンテンツ開発研究工房では、フェルメールやゴッホなどオリジナルと同素材、同質感で復元した「クローン文化財」を視察しました。「クローン文化財」であるからこそ作品に触れることができるとの解説に、視察メンバーは驚いていました。また、複製制作に関する共同研究の推進を目的に、昨年2月にオランダ芸術科学保存協会 (NICAS;Netherlands Institute for Conservation Art and Science)と本学とで協定を締結し、現在、最先端技術と伝統技法を活用してブリューゲル作の名画「バベルの塔」の複製制作プロジェクトに取り組んでいることが説明されました。
4階球形シアターでは、ドームプロジェクション映像を紹介し、臨場感溢れる映像表現を体感していただきました。半球面のスクリーンに映し出された映像を鑑賞しながら、映像分野の新たな表現方法の広がりや展望について、宮廻センター長から説明がありました。
最後に懇談の場では、澤学長から東京藝術大学では「障がいとアーツ」の取り組みとして、障がい者から健常者が学ぶ姿勢でワークショップなどを行っていることや、来年度の春から中学生を対象としたジュニア・アカデミーを開講し早い段階で音感を養うなど新たな取り組みを行っていることの説明がありました。さらに、COI拠点の成果や今後の取り組みについて先進的な意見交換が行われ、有意義な時間となりました。
「天翔る太陽神」に触れる田村長官
「クローン文化財」についての説明を受ける田村長官