9月27日、宮川典子文部科学大臣政務官が東京藝術大学を訪れ、シルクロード特別企画展「素心伝心-クローン文化財 失われた刻の再生」と、藝大COI拠点「産学官連携棟(Arts & Science LAB.)」2階のコンテンツ開発研究工房を視察しました。
9月23日に本学大学美術館で開幕したシルクロード特別企画展「素心伝心-クローン文化財 失われた刻の再生」は、東京藝術大学創立130周年スペシャルプログラムの1つであり、『クローン文化財』のみで構成された世界初の試みとなる企画展となっています。
宮川政務官は、宮廻正明社会連携センター長、深井隆美術学部教授、保坂理和子藝大COI拠点URAらの丁寧な解説を受けながら、会場を巡りました。『クローン文化財』の技術はオリジナルと同素材、同質感であるだけでなく、技法、文化的背景、精神性など芸術のDNAに至るまでを再現するものです。欠損や劣化、損失してしまっている文化財でも、歴史や文化に関する資料と心があれば、藝大の特許技術と芸術家の手業によって、ほぼ完全な状態に復元することができるのみならず、オリジナルを超える価値も創出できると、宮廻センター長から説明がありました。
宮廻センター長(左)と深井美術学部教授(右)からの解説に聞き入る宮川政務官(中央)
2001年に破壊されたアフガニスタン・バーミヤン東大仏の仏龕天井に描かれていた壁画「天翔る太陽神」の復元では、頭上には天井壁画が、目前には現在のバーミヤンの風景が広がり、文化財を本来取り囲んでいた空間まで再現された臨場感の迫力に、宮川政務官は感嘆していました。
アフガニスタン・バーミヤン東⼤仏天井壁画「天翔る太陽神」を見上げる一行
展覧会を鑑賞した後、事務局棟3階の第二会議室にて懇談会を行い、『クローン文化財』が文化財の保存と継承に大きく貢献する技術であることや、文化財を取り巻く歴史や文化の継承にも繋がること、文化外交として重要な意味を持つことなどを確認し、今後の取り組みについて活発な意見交換が行われました。
その後、一行は藝大COI拠点「産学官連携棟(Arts & Science LAB.)」2階のコンテンツ開発研究工房に移動、宮川政務官はフェルメールの「真珠の耳飾の少女」やゴッホの「自画像」の『クローン文化財』に手で触れ、質感や絵の具の凹凸まで精巧に再現されていることを確認していました。
ゴッホの「自画像」に触れる宮川政務官
また宮川政務官は、法隆寺のご本尊・国宝釈迦三尊像の合成樹脂による復元工程を鑑賞しながら、『クローン文化財』は画像処理や2D・3D印刷といった現代のデジタル技術と、第一線の芸術家の手仕事によるアナログ技術融合によってこそ制作が可能となり、両方を併せ持つ藝大ならではの技術である、との宮廻センター長からの説明に熱心に聞き入り、『クローン文化財』についての理解を深めました。
宮廻センター長による法隆寺釈迦三尊像の復元の説明を受ける宮川政務官
シルクロード特別企画展「素心伝心-クローン文化財 失われた刻の再生」は10月26日(木)まで開催しております。皆様どうぞ足をお運びください。
※展覧会の展示会場では『クローン文化財』には、一部を除き、原則としてお触りいただくことはできません。
※月曜日休館。10月9日は開館。
※詳細は公式Webサイト http://sosin-densin.com/ をご覧ください。