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平成27年度 卒業式(3/25) 「慕」 ‐ 人を慕い、敬慕を尽くすこと ‐

2016年03月28日 | イベント, 全て, 学生生活

平成27年度 卒業・修了式 「慕」 ‐ 人を慕い、敬慕を尽くすこと ‐
日時:平成28年3月25日(金) 11:00~12:10
場所:奏楽堂

式次第
1. 奏楽
2. 学位記授与(学部卒業生)
3. 学位記授与(大学院修了生)
4. 修了証書授与(別科生)
5. 卒業・修了買上作品認定書授与
6. サロン・ド・プランタン賞授与
7. アカンサス音楽賞授与
8. 大学院アカンサス音楽賞授与
9. 学長式辞
10. 役員等紹介
11. 奏楽

 3月25日(金)晴天のもと、11時より奏楽堂にて平成27年度卒業・修了式が行われました。
 今年の卒業・修了式は、音楽学部清水 高師教授及び松原 勝也教授によるルクレール作曲2つのヴァイオリンのためのソナタ第4番より 第1楽章が演奏され、二つのヴァイオリンの親密なハーモニーでしっとりと幕を開けました

 引き続き宮田亮平学長から卒業生、修了生それぞれの総代に学位記が、また別科修了生総代に修了証書が授与されました。

 会場に篠笛の音色が響き渡り、音楽学部萩岡松韻教授、吉川さとみ准教授、盧慶順准教授、邦楽科の皆さんによる演奏が始まると、舞台袖から日本舞踊の女性にいざなわれるかのように、創立当時の美術学校の制服をまとった宮田学長が現れ、会場の卒業生たちを大いに沸かせました。そして、中央にある幅約4m、高さ約2mの特製パネルに「慕」という文字を力強く揮毫しました。その後、軽快な藝大サンバ部と邦楽科の共演、宮田学長の舞ダンスで揮毫パフォーマンスを華やかに締めくくりました。

  学長式辞では、先ほどの揮毫の際身につけていた葡萄色(えびいろ)の衣装をかみさんと夜なべをしながら作りましたというユーモアで会場の空気を和らげると、「慕」という文字について「人柄を慕って手本とする、模範として見習う、恋しく思って忘れない、というような意味があります。」と説明し、「先生方はあなた達を正しい道へ導き、学ぶ徳を教えてこられました。過ぎ去った大学での時を思い起こし、新しい門出の第一歩を踏み出す今、これまで出会った人達を慕い、敬慕を尽くすことで自らの生き方を問うてみてください。」と若者たちの前途を祝しました。

 また、別会場の保護者への感謝を卒業生とともに伝えた後で、文化庁長官としての自身のこれからについての挨拶と、藝大で過ごした50年への感謝が伝えられました。

 式は再び、ルクレール作曲2つのヴァイオリンのためのソナタ第6番より第1楽章によって幕を閉じ、未来へ羽ばたく卒業生・修了生たちを送り出しました。

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平成27年度卒業式 学長式辞

卒業・修了おめでとう
実に嬉しく思います。

思い返せば、大きな山や幾多の谷があったことでしょう。それを乗り越え、克服して、今日があるのです。今日の諸君は美しい・・・。実に晴れがましい。私はとてもそれを幸せに感じます。
しかし、これからの人生において、苦難を乗り越えなければならないことが、たくさん訪れることでしょう。この東京藝大で学んだ様々な体験を最大限に生かし、素晴らしい人生を、自らの力で切り開いていっていけると私は信じています。

ところで、日本には素晴らしい四季がございます。「春夏秋冬」。そこで、そのことを道元がこんな言葉で表現をしております。

春は花 夏ほととぎす 
秋は月 冬雪さえて すずしかりけり

四季それぞれの 「きざし」 。それらを繊細に感じとる感受性。それを諸君らは作品に表し、人々に喜びを伝えられることは、とても素晴らしいことなんです。ぜひ、ぜひ、社会で実践していって欲しいと思います。

さて、さきほどサンバの学生らや邦楽科の先生方のご協力のもとに間合いをつくっていただきました。あの私が着ていた衣装は、創立当時の美術学校の制服なんです。
(会場:どよめく)
美術学校第二代校長の岡倉天心先生は、黒川真頼(くろかわまより)先生がデザインされたあの葡萄色(えびいろ)の制服を非常に愛用していたそうでございます。構内にある天心先生の像、加納夏雄先生の像を参考にして、かみさんと夜なべをしながら作りました。
(会場:笑い)

その衣装を着て、明日に旅立つ諸君に贈りたい言葉を、ここに揮毫しました。
この文字は、殷や周の時代に青銅器に鋳込まれた金文であります。さあ、何という文字でしょうね。
(会場:どこからか「文化庁!」の声に笑いと大きな拍手に包まれる)
ハズレでよかったよ。
この文字は実は「慕う(したう)」という字です。あるいは「慕(ぼ)」とも読みますね。人柄を慕って手本とする、模範として見習う、恋しく思って忘れない、というような意味があります。先生方はあなた達を正しい道へ導き、学ぶ徳を教えてくれました。

過ぎ去った大学での時を思い起こし、新しい門出の第一歩を踏み出す今、これまで出会った人達を慕い、敬慕を尽くすことによって自らの新しい生き方、自らのこれからの生き方をしっかりと問うてみてください。明日からの旅立ちに、是非ともこの「慕う」、「敬慕」の気持ちを忘れないでいてもらいたいと思います。そんな気持ちを込めてこの文字を諸君に贈ります。

今日この部屋には入ることができませんでしたが、別会場におられる保護者の皆さま、
カメラはどこかな?
(会場:笑い)
本日は誠におめでとうございます。
彼らは芸術家としての第一歩を踏み出そうとしています。どうかその彼らの前途を祝し、拍手をもって彼らをたたえてあげて下さい。
(拍手)
学生諸君、バルコニーには、ご指導頂いた先生や、陰日向なく大学を支えてくれている事務職員がいます。家族への感謝とともに、支えてくれた皆さんへ暖かい拍手をもって、今の気持ちを伝えていただけたら嬉しいのですが、お願いできますか。
(会場:大きな拍手がしばらく鳴り響く)
そして、君たちも友達として、また正敵として戦い、励まし合い、喜びを分かち合った仲ですよね。互いに感謝の気持ちをもって、この「慕う」という心をこめ、どうだい、ハイタッチをしたら...。はい!
(会場:皆で隣り合う人々とのハイタッチで盛り上がる。最後に舞台上の宮田学長に向かってハイタッチ)

ありがとう。

ところで、私ごとですが、この東京藝術大学に入学してから、はや、なんと50年が経ちました。この時を期に、私も卒業させて頂きます。先般、文部科学大臣から文化庁長官就任のご下命をいただきました。この話を頂いた時、すぐに答えを出すことができませんでした。なぜなら私は東京藝大が大好きだからです。先生や事務職員の素晴らしさ、そして同時にいまここにいる後輩やOBを含めた、学生達と過ごすことができること、この環境が、好きで、好きで、好きで、去ることなど考えてもみなかったからです。

私は文化庁に行きます。日本を更なる文化立国、芸術立国にしていく為に、東京藝大の力は不可欠であるということを示す使命もあると思っております。皆さん、共に日本の素晴らしさを世界に伝えていきましょう。是非ともお願いします。

私にとって、この卒業式が最後の卒業式となります。長い間、本当にありがとうございました。
(会場:大きな拍手が鳴り続ける)

改めて学生諸君、卒業・修了おめでとうございます。

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